sonoを使ってくださっているアーティストやDJの皆さんへのインタビュー企画、数回に渡り「激DJに訊く!稼げるDJ・呼ばれるDJになるためのメソッド」と題したシリーズでお届けしています!
第4回目のメインテーマは「楽曲の年代ごとの音圧差」と「確変を起こす」。フロアに火をつけるまでの流れを、noteのマガジン「激DJ 構築の戦略」を書いている激さんはどのように起こしているのかについて迫ります。
前回の記事:
デバイスや年代の違いで生じる音圧差にどう対処するか?
Mimy(以下 M):先ほど(第1回記事で)楽曲の「テクスチャ」の話がありました。
「データ」でプレイするか「レコード」でプレイするか?ということについてご質問ですが、色んな年代の曲をひとつのイベントでプレイする時、楽曲ごとに「音圧の違い」も結構あるじゃないですか。
激(以下 G):ありますね。
M:音圧を揃えるのって難しくないですか?時代によってトレンドのマスタリングがある中で、全然違う年代の曲を持っていくのって、やっぱり難しいのではないでしょうか?
G:えっと、回答としては「難しい」ってなるんですけど、ある程度デバイスを揃えることで、それは安定してきます。
例えば、僕は7インチオンリーでプレイすることも多いんですが、7インチだけだとそこまで大きな差は出にくいんですよ、シングルカットなので。
これが12インチになってくると、33回転か45回転かで音圧の差は変わってきます。要は、「アルバムでプレイするか、SPまたはシングル版の45回転だけでプレイするか」という違いになってくるということですね。
「やっぱりシングルで揃えていかないとしんどいよね」っていう。
M:でも「どうしてもこのアルバムの中にしか入ってない曲をプレイしたい!」みたいな時には……。
G:そう、難しくなるんですね。
データの場合だと、ある程度は試聴の段階で分かると思うので、同じ曲でも出来るだけ良い音のデータを探して落とし直したほうが良いです。
M:最近だと昔の楽曲でもデジタルリマスター版が出ていることがありますが、そういったものを選んだほうが良いのでしょうか。
G:まあ、前後の楽曲によるというのもありますけどね。
あとはもう、敢えてそれを楽しんでもらうのもアリです。ネタ要素として「90年代のマスタリングってこんな感じなんですよ」って。
さっきのテクスチャの話でいうと、「新譜→新譜→新譜→90年代の安室奈美恵ヒットソング→また新譜」という流れでやると面白いじゃないですか。そういうブレイクを付けるようなポイントでちょっとネタ的に使うのは良いかもしれないですね。
M:ネタですね、面白い(笑)
同じ年代の曲を何曲か続ける中でグラデーションを作るということもするのですか?
G:そうですね。例えば「CLUB 80’s」という80年代のベッタベタな曲を流すイベントに出たことがあるんですが。
M:ベッタベタ(笑)
G:ベッタベタの80年代は大体ディスコが流れるんですけど。
ある回で「C-C-B」の曲をプレイしたんですよね。そしたら「C-C-BからRydeenに繋げられるぞ」というのを発見して、そこから無理やり一世風靡セピアの「前略、道の上より」をミックスしていくというDJをやったんですよ。
これだと「80年代の昭和歌謡」で揃っているから、あんまり音質のバラつきは気にならなかったです。同じ年代の曲をある程度続けて流せば、飛び道具ではあるけど、グルーヴとしては揃ってくるという。
一度フロアに火をつけた後だったので、ある程度矢継ぎ早でもお客さんが着いてくる状況が作れていたというのはあると思うんですけど。
M:前提条件として、既にそういう状況を作っていたということですか?
G:そうです。作るまでが大変でした(笑)
僕はゲスト出演だったので他のDJの出演後だったんですが、お客さんがまだ遠慮している感じだったので、初めは110BPMくらいでちょっとテンポが遅めの70年代後半ディスコ・ファンクをじわじわやりました。
それからお客さんが徐々に前に出てきた段階で80年代クラシックを流して、お客さんが「おお〜!」ってなってから「昭和歌謡」の飛び道具メドレーに移行しましたね。
M:そこまで来たら、「もう本当に楽しい!もう確変ゾーン!」みたいな感じになりそうですね!
G:そうそう!やっぱり確変を起こすのが大事なので、すごく難しかったです。
DJの「確変モード」を構築するまで

M:今までのDJ経験の中で「確変」を起こせるようになるまでには、時間かかりましたか?
G:かつて独りよがりの選曲をしていた頃でも、人が沢山いるシチュエーションが出来上がってる場合で、年一回程度は当たっていましたが、やはりそれでは足りなくて、そのたまたまを追いかけるばかりにドツボに入っていったということはありました。
とはいえ、ローカルの場合、なかなか人がいるシチュエーションで立て続けにDJする機会を作るというのは、よっぽどの大箱DJか、キャッチーなクラブでもないと特に難しいと思います。
僕の場合、たまたまご縁や時期などが上手く合い、京都でも結構人が入るバーで定期的にDJをやらせてもらっていたので、すごく運が良かったんです。
毎週金、土にお客さんがパンパンな状況で、一人で5〜6時間DJしてたんですよ。そこでお客さんの動かし方や落ち着かせ方、テンションの合わせ方を覚えることができました。
M:なるほど。
G:そんな現場が多かったから、そういう(前回記事で触れた)コミュニケーションや「2:8の法則」を身に着けたというのはあります。
M:その時の経験が大きい?
G:めちゃくちゃ大きいですね。
でも、誰でもそういう現場に立たせてもらえるわけではないし、立たせてもらったとしても、ちゃんと現場を楽しませる仕事をしないと次に繋がらない。
僕は19年間DJを続けてきたうちの15年間は全然売れていなかったんですが、もう本当に、シチュエーションが揃うタイミングは一握りの人しか与えられないんです。
新しく出てきて芽が出ている若者には、フックアップ的に先輩方からそういう場も与えられやすいけど、自分のような「5年以上やっていながらにっちもさっちもいかない」という人だと、よほどではない限り先輩からのフックアップは減っていきますよね。そうやって負のループに陥っていき、オファーも減っていく。DJも楽しくない。
だから、そういう人たちに対して「まだ出来ることあるよ!」というのを伝えることがこのマガジンの意義だと思っています。5年以上やってるけどなかなか上手くいっていない人に「もう1回やろう!」と。
「激DJに訊く!稼げるDJ・呼ばれるDJになるためのメソッド」次回はシリーズ最終回として、人が沢山いるシチュエーションに立つためのDJの「営業」の話に触れていきます。お楽しみに!