• Interview

Creator's File Vol.15 - Abandoned Cat

sonoを使っているアーティストやDJの皆さんへのインタビュー企画、今回から3回にわたって、sono主催「オリジナルソング・コンテスト」受賞者の皆様に詳しくお話を伺ってまいります!
Vol.15は映えあるグランプリを受賞したAbandoned Catさんにインタビューをさせていただきました。

mimy(以下M): 「sonoをイメージした楽曲」を募集対象とさせていただきましたが、歌詞に「声を上げよう」という力強いメッセージを入れてくださった点、そして今後sonoが始動する「sono総合芸術アカデミー(仮)」の講義で用いるためのミュージックビデオ制作に使わせていただくにあたり、動画制作のイメージを換起させてくれたという点が評価ポイントになり、Abandoned Cat さんの「Akashi」をグランプリとして選出いたしました。ご応募くださって本当にありがとうございました!
ところで、今回はどのようなことを思われてご応募いただいたのでしょうか。

Abandoned Cat / Akashi (コンテストグランプリ受賞特典オリジナルMV)

Abandoned Cat(以下A): ちょうど年末に「歌モノの楽曲を作りたいな」と思って計画してたんです。
そのタイミングで、たまたま「sonoのオリジナルソング・コンテストが開催される」ということを知り、是非応募しなければと思いました。

M: sonoはどのようなきっかけで使い始めたのですか?

A: sonoに出会ったきっかけは、X(Twitter)のタイムラインでmimyさんの投稿を見かけたことです。
音楽活動をしている方々にメリットを生み出すサービスを作る、という部分に共感したというか、賛同したというところがまず第一ですね。

今回の受賞作品「Akashi」の制作画面。DAWにはStudio Oneを使用しているとのこと。

M: 今回の受賞作品を制作をする上で、工夫した点や大変だった点はありますか?

A: 受賞作品は、「自分が新しく取り入れたジャンルになるべく沿った感じの曲を作ろう」という新しいチャレンジの重なりだったので、自分でも興味深く感じながら制作を進めていくことができました。
Serumというソフトウェアシンセサイザーを使った音をメインに据えて、音のセレクトを工夫するなど慎重に考えながらやってみたんですが、うまく効果的に活用できている形に仕上がっているならば良かったな、と思っています。

M: Abandoned Catさんは今までどのような形で楽曲制作を行ってこられたのか、その背景をお尋ねしてもよろしいですか?

A: ソフトウェアで楽曲を作るきっかけになったのは、10年ちょっと前にPro Toolsを入手したことでした。
音楽系の雑誌の付録CDにPro Toolsが付いていたので、試してみたのが最初です。

M: 音楽系の雑誌を購入していたということは、元々楽曲制作にも興味があったということですか?

A: はい、そうですね。
以前は、石野卓球さんのテクノに憧れて・・・というのもあるのですが、AKAIのサンプラーなどハードウェアの機材を使ってテクノとかヒップホップとか、ジャンルにこだわらず色々な曲を作っていました。
その後いくつかDAWを試してStudio Oneに落ち着き、今はStudio Oneをメインとして、完全にソフトウェアベースの制作に切り替えています。

M: 機材を使わなくなったのは、どういう流れがあったのですか?

A: 「PCの画面の中で全部完結する」というところに独特の美学みたいなものを感じたのが大きいです。もちろんコストパフォーマンスも良いですし。
スピーカーから大音量を流せない住宅事情や、「ハードウェアは保守点検や故障などに遭遇すると嫌だな」というのもありました。

M: 楽曲を作る上での難しさや、やりがいを感じる点についてもお聞かせいただけると嬉しいです。

A: まず、「自分が満足できる曲」「自分で繰り返し聴ける曲」を作ることが主にあります。
それをどこまで「受け入れられる曲」に変化させられるかという部分にチャレンジしている最中です。なので、ボツの曲も結構多いんですけど、色々と作っています。

M: それではたくさんの楽曲のストックがあると思うのですが、どこかのレーベルにデモを送るなどの活動もしていらっしゃるのですか?

A: 最近またレーベルに送っていこうと思い、LabelRadarというサービスを使い始めたところです。
LabelRadarは海外のサービスなので、デモを送るのも海外レーベルばかりですね。
そのほか、Pennyroyal Recordingsという日本のインディーレーベルからもLoFiヒップホップの曲をリリースさせていただいています。
最近始めたテクノ寄り・エレクトロニカ寄りの楽曲は、自分でセルフリリースするか、海外レーベルから出してみようと思って動いてるのが最近の状況です。

M: 私がAbandoned Cat さんの曲を最初に聴いた頃は、確かにLoFiの楽曲を作っていらっしゃるイメージがありました。最近はまた別のジャンルにもチャレンジしていらっしゃるということなんですね。

A: そうですね、チャレンジしてます。

M: Abandoned Cat さんは「Dr​.​Pepper Compilation」というコンピレーションも企画されていますが、そちらにはたくさんのアーティストの方が参加してていらっしゃいますね。

A: 「ドクターペッパー」というドリンクがあるんですが、非常にマニアックな味わいのため、好き嫌いがはっきり分かれる飲み物なんです。
そういう飲み物でも「好き」だと言ってくれる人を音楽の表現として集めたいと思い、また、ドクターペッパーの話題をSNSのタイムラインに流したいという意図があって企画しました。
おかげ様ですごく反響があり、たくさんの方がご応募してくださいまして、僕の曲も含まれていますが、全21曲収録のコンピレーションアルバムになりました。

M: 「ドクターペッパー」というテーマでこれだけ集まっているのもすごいですが、たくさんの応募に対してそれらをコンピレーションにまとめてリリースを実現させるのは、結構大変だったのではないでしょうか。

A: そこまで大変ではなかったです。
募集に際して最初に決まりごとを公表し、大抵の方が決まりに沿った応募の仕方をしてくださったので特に混乱もなく、大丈夫でした。

M: 今後も、こういったコンピレーションや何かしらの形でいろんな方の音楽活動を支える活動をされていくのでしょうか?

A: 自分の音楽活動の一環として、楽曲をリリースしている方々のSNSの投稿から実際にYouTubeやSpotifyを見に行って、「推したい」と思う人の投稿を積極的にリポストするなど、色々助けになるようなことをしたいとは思っています。
自分自身も応援されると嬉しいですから、周りの人もやっぱり応援したいという気持ちでやってますね。

M: 今後、新たに何かチャレンジしてみたいことはございますか。

A: そうですね。音楽の取っ掛かりと言いますか、間口を広げて「楽曲制作を始めてみたい」という初心者・入門者の方にも役立つような情報を提供したいなと思っています。
その人たちが魅力的に感じて音楽の世界に戸を叩いて入ってきてくれると良いですね。

お知らせ

このインタビューがきっかけとなり、Abandoned Catさんは現在sonoにてコラムの執筆をいただいております!
Abandoned CatさんがFukuoka Digitalの名義で連載中のコラムシリーズ「音楽制作に役立つ情報を共有・提供したい!」そして「sono的!聴かずにはいられない」も、ぜひチェックされてみてくださいね。

音楽制作に役立つ情報を共有・提供したい!
sono的!聴かずにはいられない

楽曲情報

Abandoned Cat / Akashi
Release Date: 2025.04.10
BPM: 116
Key: C

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