• Interview

Creator's File Vol.11 - Kulage

sonoを使っているアーティストやDJの皆さんへのインタビュー企画、11回目はStanllieさんとBarbieさんのお二人によるテクノDJユニット・Kulageの登場です!
近年福岡から東京に進出し、WOMBやVENTなど大型クラブでのイベントにも出演を重ね、確実にその知名度を上げていくKulage。私はお二人が福岡にいた頃から繋がっていたのですが、それぞれDJを始められたきっかけや何故東京に進出することになったのか、二人で一緒にDJをすることの難しさををどう乗り越えていったのか、そしてトラックメイキングのことについてなど、今回改めて様々なお話を聞くことができました。

福岡から東京にDJ活動の舞台を移して

mimy: お久しぶりですね!お二人が福岡から東京に拠点を移してから、どのくらいになるんですか?

Barbie: 東京に来たのは私のほうが先だったんですけど、Stanllieが東京に来てからは1年ですね。

Stanllie: そうですね。僕が東京に移ったのが2022年の11月だったんで、ちょうど1年経ったくらいです。

Kulageを結成以来、二人でDJをミックスしていくスタイルで活動するBarbieさんとStanllieさん。

mimy: 東京でのご活躍はSNSでよく拝見していますが、もうそんなに経ったんですね。
やっぱり、活躍の場を東京に移したいという想いがあって東京に移住されたのですか?

Barbie: 東京でというか、「もっと色んなところでやりたいな」っていうのがあって、東京に行ったほうがいろいろ早いかなと思ったんですよ。

mimy: まさに、今はWOMBのような大きいところでもDJをされていらっしゃっていますね。
今も基本的にソロではなくずっと2人でDJしてる感じですか?

Stanllie: ソロもちょこちょこやってますよ。
Barbieのほうは、ソロでドラムンベースをやっていってます。

mimy: それは良いですね、福岡でもやってほしい!
福岡に戻る機会はやはりだいぶ減ってきましたか。

Barbie: できれば頻繁に戻ってパーティーもやりたいんですけど、お客さんを呼ぶとなると結構難しいなと思うので。
「福岡でこうしていきたい」とか「こうなったらいいな」というのがまだそんなに固まってるわけではなく、そんなにお客さんが集まらないのにイベントをやっても意味ないなというのがあるから、何かいろいろ対策を考えつつやっていきたいですね。

Stanllie: 僕らは福岡でずっとやってきたわけだけど、そうしているとやっぱり海外を目指したくなるじゃないですか。
それで色んな人から「もう手っ取り早く海外に行けばいいじゃん」って言われることもあったんですけど、その前に一度、日本の中心である東京で僕らが通用するのか?というのもあって。だから、東京に出たのはその答え合わせと、外国に行くにあたっての修行のような感覚も自分の中にあります。

東京のフロアで感じる確かな手ごたえ

mimy: 福岡から移住して一年ということですが、東京での手ごたえはいかがですか?

Barbie: 手ごたえは、思ってたよりも良いです。
「私たちのDJが受け入れられるのかな」と思いつつ、もし誰からも誘われなかったとしても「自分でやれば良いや」という気持ちで、とりあえず私のほうがStanllieよりも先に東京に行ったんですよね。
「最初の3ヶ月くらいはいろいろイベントを回って顔を覚えてもらってDJできたら良いな」って思ってたんですけど、意外と福岡のときから繋がってた人たちが声をかけてくれたので、DJの機会はどんどんもらうことができました。
DJももうすぐ20年になるくらいにはやっているので、「そこそこできる」となると色んな人が続けて声をかけてくれることが多くて、思ってたよりも周りの人たちが受け入れてくれてる感じはありますね。

mimy: 東京では、ご自身たちで主催するよりも呼ばれて行くことが多いんですか?

Barbie: 呼ばれていったり、レギュラーで入れてもらったりするのもあるんですけど、2ヶ月に1回、WOMBの4階で「SECTION NINE」というイベントのオーガナイザーをやってます。メインフロアがドラムンベースの06Sで、その4階フロアを担当という感じで。

mimy: 今は月にどのぐらいの頻度でDJされてるんですか?

Stanllie: Barbieが先に東京に来て、それからコンスタントに4~5本とかですかね。

mimy: 既にBarbieさんが東京で開拓されて、そこにStanllieさんが合流された感じなのですね。

Stanllie: そうです。ちょうど僕らが東京に来たのはコロナ明けで、クラブも「さあ、もう一回ここから仕切り直しだ」という時期だったんですよ。だから入り込みやすかったというのはありましたね。
コロナのときに活動をやめていた人たちが再び動き出した頃にちょうど僕らがポンポンとこっちに来たので、多分めちゃくちゃタイミングが良かったんだと思います。先にBarbieが色んな人とお友だちになって足場を作ってくれていて、その半年後くらいに僕が登場した形で。そのときは「おっさんが一緒に付いてきたよ」っていうインパクトがあったというか、「誰?この人」みたいな。

mimy:
とか言いながら、東京でも普通に受け入れられたようですね!

Stanllie: ですね。やっぱり今までずっと長くやってた分、知り合いの人がイベントをさせてくれたりはありました。
necoくんや、その繋がりもあったりとかして。今度もまた一緒にやるんですけど。

Kulageとして二人のユニットでDJをするということ

mimy: 私はお二人のことをちょっと前から存じ上げているんですけど、この記事を読んでKulageのお二人に興味を持つ方もいらっしゃると思うので、DJを始められた経緯やどうして今二人で一緒に動いてるのかなど、詳しくお聞かせいただけますか?

Stanllie: 元々Kulageを始める前は、福岡の親不孝通りにあった「CLUB ZOOM」というお店で僕はDJや店長をしてました。そこにBarbieのほうもお客さんで来ていたのが、「DJをやりたい」ということでDJをスタートさせてるんです。

mimy: Barbieさんは最初からDJをやりたいと思っていたんですか?

Barbie: いや、私はもう単純にクラブで踊りたくて遊びに行ってたお客さんで。
それが楽しすぎて、そのとき大好きだったイベントで誘われてスタッフをやるようになり、それから「DJもやりたい」と思って、周りの人に教えてもらってDJを始めたという感じですね。

mimy: その当時からハードテクノをやっていたんですか?StanllieさんはトランスのDJもされていたと伺っていましたが。

Stanllie: Barbieはやっぱり、入り口はトランスですよね。日本全国、世界中でトランスのムーブメントが起きたときだったので。
僕はその前からハウスとかHipHopからディスコも、ほぼほぼ経験してます。

mimy: そうなんですか!HipHopのイメージが全然なかったです。

Stanllie: 最初は全然ユニットを組んでたわけじゃないんすよ。
風営法の嵐が日本全国吹き荒れた時期にZOOMが閉店せざるを得なくなって、僕はバーとかでいろいろ働きながらDJは呼ばれて行くという活動になってたんですね。
Barbieのほうはフットワークが軽くて色んなところでDJをしてたんですが、するとあるとき「一緒にやってみないか」という提案をされて。

mimy: Barbieさんのほうから?

Stanllie: うん。それで「ちょっとやってみるか」ということになったのが一番最初です。

Kulageとしての活動は2015年からだが、二人が知り合ってからの期間はずいぶん長い。

mimy: Barbieさんは、何か「一緒にやりたい」と思うきっかけがあったんですか?

Barbie: きっかけがあったわけではなく、何となく一緒にやったらバランスが良い気がしたんですよ。もう本当に結構、漠然とした感じだったんですけど。
あんまりユニットでDJしてる人たちがいなかったから、私自身が性格的に周りと違うことをやりたいところもあって、提案してみました。

mimy: そうだったんですね。実際にやってみて、お互いにカチッとはまったとか、もしくは難しい部分があったりなどしましたか?

Stanllie: 最初はもう、お互い遠慮しちゃって。

Barbie: いやもう全然駄目でした笑

Stanllie: 譲り合いしてましたね。

mimy: 意外です!
もちろん一緒にやり続ける中で色んな模索をされて今の形になっていったのかなとか思うんですけど、どんな経緯でうまく行くようになっていったんでしょうか。

Barbie: 一回「すごくうまく行ってる」っていうときがあったんですよ。
これは私だけの感覚なんですけど、Stanllieが来るまで私が東京で1人でずっとDJしてたんですよね。福岡から東京に引っ越して、アウェイだったところでDJをやることになって、多分そのときに鍛えられたと思います。
そのあと久しぶりにStanllieとDJやったときに、「あ、すごくうまく行ってる」みたいな感じがあって。

mimy: そうなんだ。鍛えられたことでBarbieさんも自信になって、それで遠慮しなくても良くなったんですかね。

Barbie: それもあるかもしれないですね。そういうので結構、上手くいったのかな。

mimy: 東京に行くまではずっと福岡でDJをされていらっしゃいましたが、そのときはまだ遠慮のし合いだったんですか?

Barbie: 福岡にいるときは「こうしよう、ああしよう」って話し合って決めたうえでDJに臨んでたんですよ。
それが最近はそれをしなくても、割とうまく行くようになりましたね。

mimy: ということは、福岡にいるときとはまた違ったKulageの進化を感じることができそうですね!

Stanllie: どうですかね、僕らもう多分、根っこの部分は変わらないんですよ。
最近は二人とも遠慮しなくなってますけど。

Barbie: 取り合いが笑

mimy: そうなんですね笑
Stanllieさんも、Barbieさんが遠慮しなくなったからご自身ももっと自分を出せるようになった感じですか?

Stanllie: ずっと遠慮してなかったみたいですね、僕は。

mimy:

Barbie: Stanllieはそんなに遠慮してなかったんですよ。

Stanllie: 最初は遠慮したんですよ。一番最初の頃だけ、Back to Backのやり方で。で、「これ駄目だ」となって。
本当はもともと二人ともBack to Backが嫌いなんですよね。イベントも「ここはBarbieのパートで、俺はここのパート」という形でずっとやっていて、Back to Backにどうしても苦手意識があったんです。やっぱり自分で考えて選曲してDJをするのが得意というか、好きだったんですよね。
で、「一緒にやってみるか」ということでいざやってみたけど、最初はそれぞれ個人のノリが分断される感覚がしてうまく行かない。結局ずっと「はい次、はい次」と渡すだけでした。
その後やり方を変えてほぼ2曲ずつで交代するようになり、あとはイベントにもよりけりですけど、完全にセットリストを組むこともよくしてたんです。

Barbie: それが福岡のときですよね。最初うまくいかなかったから、「決め打ちで行こう」みたいな形でやったりとかしてて。

mimy: そうなんですね。それが今はもうなくなった感じですか。

Stanllie: あんまり決めなくなりましたね。決めていくときは、それも理由が結構あって。
福岡のイベントのときは前後のDJや来るお客さんも想像がつくけど、東京のほうでDJをするときだと、環境もお客さんも前後のDJがどういう人かもわからない、知っているスタッフもいないアウェイ状況だから、その場で慌てるくらいならという場合は決め込んでました。
でも、最近は何となく箱の雰囲気やどんなお客さんがいるかもわかってきたので、そこまで決め込まずやるようになりましたね。

東京の現場で感じた肌感覚

sonoでもイベント情報に投稿されているWOMB「06S」では4階フロアでKulageが「SECTION NINE」のオーガナイザーをしている。
フライヤーは2023年11月4日開催のときのもの。

mimy: 東京と福岡では、空気というか肌感覚が違うことはありますか?例えば、お客さんの反応が違ったりとか。

Barbie: ありますね、もう、お客さんの数が全然違うんで。
東京のお客さんは結構外国の方も多いから、総じて熱量が全然違うという感じになりますね。

mimy: そうなんだ、楽しそうだなあ。行ってみたい!

Barbie: 楽しいですよ笑

Stanllie: 外国の方がむちゃくちゃ多いです。外国人に人気ですよ、僕ら。

mimy: そしたらもう海外のクラブにいるような勢いで楽しめそうですね。

Stanllie: ありますあります。
箱にもよるとは思うんですけど、僕らがレギュラーでやってるWOMBの06Sは、メインフロアがDJ AKiさんのドラムンベースで僕ら4階がテクノ系、1階はDJスクールの生徒さんたちがやっている、テクノの中でももうちょっとジャンルの幅広い感じのフロアで。
やっぱりWOMBっていうネームバリューで、外国からの観光客がめっちゃ多いですよ。下手したら半分くらい外国人の方。

mimy: 福岡と全然違うんですね!

Stanllie: うん。あと、最近気付いたのは留学生の子が多い。ぱっと顔を上げたら8割くらいが外国の方かもしれないような、そういう雰囲気もあるんですよね。

mimy: そうか。お二人は海外でのDJ経験もあると思うんですけど、そしたらもう現地にいるような感覚ですか?

Barbie: 現地まではないんですけど、でも近いものはありますね。

Stanllie: 場所にもよるとは思います。観光客が多いところもあれば小さいところや、あんまり知られてないところとかもあるので。

mimy: そういう箱によっての違いでDJのやり方を変えたりするんですか?

Stanllie: テクノという形でやってはいるんですけど、元々幅広いというか、ハウスやプログレッシブだけの要素とかでも全然いけるので、そこでちょっと色を変えてみたりはしてますね。

東京の大型クラブの音の鳴りがトラックメイキングを変えた

KulageのBeatportページ

mimy: DJのお話をたくさん伺いましたが、Kulageは曲のリリースもしているユニットですよね。曲作りのほうは最近どうですか?

Stanllie: 最近は一時期スランプに陥って。今、地道にまた復活させています。

mimy: スランプですか。それは、東京に行ってからですか?

Stanllie: そうです、東京に来てからです。

mimy: やっぱり環境が大きく変わったのも影響してるんですかね。

Stanllie: 夏前くらいにスランプに陥って。それから何かうまくいかない時期がありましたね。
その間もうパーツをちょっと作るのだけはするようにして、今やっと何曲かまとまってきたかなと。

mimy: なるほど。やっぱりスランプになっても、ちょっとでも継続的に触ったりパーツを作ったりする時間があったほうが良いのでしょうね。

Stanllie: それはありますね。あと、多分スランプになったのにも思い当たる節があって。
東京に来て、例えばWOMBやVENTのように音がでかくて良い箱に身を置くようになると、今までの感覚で曲を作るのとはちょっとずれてくるんすよ。低音域の部分とかが。

mimy: そんなに影響が出てしまうんですね。

Stanllie: 個人的にはですね。だから大きな箱ででかい音を出したときの音の出方や刻み方は、やっぱりすごく聴いていて感じてしまうので、夏前くらいまでは多分それが上手くアウトプットできてなかったんです。

mimy: そういうことだったんですね。
最近はもう少し感覚がつかめるようになりましたか?

Stanllie: 何となくですね。今は新しいのを作ってます。

mimy: ではまた海外などのレーベルに送ってリリースする流れになるでしょうね。

Stanllie: 出しますね。出すと思います。

mimy: 良かった、楽しみにしています!

現在のレギュラーパーティーと、これからのこと

今後も大きな舞台で精力的に活動していくKulage。

mimy: 先ほど少しお話の中に出てきましたが、これからクラブに遊びに行ってKulageのDJを楽しみたいという方のために、お二人のレギュラーパーティーについてもお知らせいただけると嬉しいです。

Barbie: 奇数月の第1金曜日か土曜日にWOMBで開催される06S、その4階で「SECTION NINE」というパーティーをやってるいるので、良かったら皆さん遊びに来てください!!
東京に来てすごくよかったなと感じているんですが、その理由のひとつに関係者の熱量が高いパーティーがたくさんあるってとこがあって。
もちろんそういったパーティーは遊びに行くのも楽しいですし、またさらにそこでDJできるってなるとそれは本当に光栄なことで何よりDJするのがめちゃくちゃ楽しいです!SECTION NINEもそんなパーティーになる様に頑張っているので、ぜひよろしくお願いします!!

mimy: これからまた東京はもちろんながら、そこにとどまらず世界にもがんがん出ていく、そんなKulageのお二人を見たいですね。

Barbie: 頑張ります!

Stanllie: 東京に来て驚いたんですけど、僕より先輩の人たちが現役でバリバリやってるでんすよ。DJ Q’HEYさんがいらっしゃいますけど、あの辺も僕より年上の人たちなんですよね。女性の方も、年上の人たちでも全然遊んでたり現役で活躍してるんです。

mimy: そうか、その辺も福岡にいたらあまり見られない光景ですよね。それでは、まだまだお二人はあれですか。

Stanllie: ひよっ子です笑

mimy: それだけ層が厚い場所を舞台に移されていらっしゃいますが、Kulageのお二人にはぜひともガッと突き抜けて世界に飛び出してほしいです!

Stanllie: 行こうと思います!

これからもお二人がどんどん世界で活躍する姿を見られることを楽しみにしています!
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