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火星音楽通信 - 第2回:ジャズ脳 (part 1)

第1回の記事を書いてから、すぐに2回目の記事を書き始めました。そしたら風邪をひいてしまい、大幅に寝込んでしまったので更新が遅くなってしまいました。私の場合、風邪をひくと耳が聴こえなくなるので本当にダメなのです。日常生活には支障はきたしませんが、音楽を聴いて楽しいと思える帯域の音が聴こえなくなってしまうので、そうなると音楽が途端に無味乾燥なただの音と化してしまうのです。そういうわけで風邪をひいてから1週間ほどは音が楽しめない状況にありました。

たくさん音楽を聴いている日々ではありますが、タイトルにもありますように現在ジャズ脳になっています。学生の時にジャズをやたらと聴いていたせいもあってライブラリはそこそこあったんですけど、今更にそこから聴いたことないやつをガツガツ聴いたりしています。非ジャズ音楽も並行して聴きますが、ジャズ的な視点で見るとまた今までと違った面が見えてきて面白かったりします。

本記事では曲のタイトルのところをクリックしてもらうとyoutubeで曲が聴けるようにリンク貼ってます。気になったら聴いてみてください。

というわけで次に聞いたのはこれです

Conversations with myself /Bill Evans

このレコードの作り方としては通常のジャズとは著しく異なっていて、これはbill evansがピアノを何度も一人でオーバーダビングして作ったものとなっています。ただし、ロックやポップス的にアレンジを煮詰めながら何度も録音を繰り返している感じではなく、録音した自分の演奏に触発される形で一人インタープレイを繰り返していったのかな、という感じがします。なので、タイトルもconversations with myself(自己との対話)というふうにしたのだろうと思われます。アルバムでは’スパルタカス愛のテーマ’が白眉。Bill Evansは同曲を別のアルバムでも録音(’spartacus love theme bill evans jeremy steig‘ album from “what’s new”)していてこれもヤバいです。ジャズに於けるフルートもなかなか乙です。同アルバムではクラシカル音楽にはない奏法がたくさん聴けてまさにジャズという感じです。

Signing off / ub40

本場ジャマイカのレゲエと違って、このブリティッシュ・レゲエは暗く、都会的です。サウンドはものすごく素晴らしいけれど、政治的主張が強すぎて内容に注目するとうんざりしてきます。とはいえ、レゲエのサウンドというのはプリミティヴでローファイですがすごく刺さるものがあります。

最近常飲するものとして白湯を飲んでいます。外でも白湯を入れた水筒を常備し、常に白湯を飲みます。以前はコーヒー、麦茶、お茶、紅茶、カフェオレ、ミルクティーなどを淹れるなどし常飲していました。飲み物は常に「何か」であらねばならないと思い込んでいた自分は「白湯」という存在に気づかずにいたのです。味や刺激がなければつまらないと思っていたし、白湯にはその何物もないと思っていました。しかし、嗜好品の副作用的なもの、例えば利尿作用や過剰摂取による胃痛感などを体験するにつれ、白湯にはその心配がないことが分かり、常飲してみるとその旨さにも気づく事ができました。

Live at Leeds / the who

本ライヴ・アルバムは長丁場のライヴをLP1枚分にスッキリと納めた随分あっさりとしたライヴ盤がオリジナルになります。今ではライヴ全編を納めたデラックス・エディションがほぼデフォルトとなっていますが、これはとにかく長い!先ほどの話で行くと本オリジナル盤が白湯に例えられますでしょうか。とはいえ、演奏はとてもアグレッシヴで粗暴でマッチョです。the whoが面白いのはそれらにプラスしてピュアで繊細な部分が含まれているところです。

「火星音楽通信」のルーツに踏み込む

ところでこのコラムのタイトルであります「火星音楽通信」ですが、タイトルバックに使われている画像は本当に火星の風景(デジタルデータ)です。火星の地表をスキャンして得られたデータの一部がweb上で公開されているので、それを地形再現ソフトに入れると、3D的にその地形が表示されます。その視点や光源その他をグリグリ動かす事ができるので、自分でアングル決めてシャッターを押してタイトルバックとしました。こうした火星探査にはちょっとした国家予算レベルの資金がかけられていることでしょうから、その恩恵を得て作る事ができたこのタイトルバック画像は極めて贅沢であると言うことができると思います。

で、火星というキーワードが出てどうしても触れざるを得ないアーティストがDavid Bowieになります。

Space oddity / David bowie

サウンドのイマジネーションを宇宙レベルに広げてくれたというか、曲中に出てくる登場人物の宇宙飛行士であるトム少佐と管制塔の謎のやり取りも宇宙を感じさせてくれます。トム少佐が狂ってやり取りが不能になっていく様も異空間であることを嫌というほど感じさせてくれます。興味がある方は歌詞など検索して調べて読んでみてください。david bowieには他にも宇宙をテーマに使った曲がたくさんあり、ここでは紹介しきれないんですけど、火星関連で言うと

Life on mars / David bowie (album from “hunky dory”)

既存の王道コード進行をガッツリ使って作り上げられた(と、言われている)この曲ですが、完全にdavid bowieのものとなっています。歌詞を読むと別に火星の事を歌っているわけではなく、ごちゃごちゃとした日常の喧騒にうんざりしながらぼんやり現実逃避的に火星に生命はいるのかな?などと考えていたりするような屈託した内容ですね。

そういえばかつてBBC放送で制作された「Life On Mars」という刑事もののドラマシリーズをご存知でしょうか。このドラマで使われているサウンドトラックが実にツボで、全話エンディングテーマに違う曲が使われていて、状況に応じて最適な曲が流れて非常に痺れました。基本的にはロック好きのツボにハマる感じの曲なんですが。これ非常におすすめなんですけど今どこでも見る事ができないので見る機会があったらぜひ見てほしいです。日本語化されたDVDとかが中古であるかもしれません。ストーリーも面白かった。めっちゃ面白いのでおすすめです。

life on mars /bbc

若干ネタバレしますが、基本的には現代でスマートに生きるエリートが過去(1970年代)にタイムスリップし、当時は暴力的で、粗暴で人権も希薄、女性も虐げられたりする中で最初はとんでもねぇな、早く現代に戻りたい、みたいな感じなんですけど、いつしかそこでしか生きている実感を感じられなくなるようなそんな話。

‘Born slippy / underworld’ album from soundtrack “trainspotting”

音楽と深い関わりがある映画という連想でどうしても忘れられないのが1996年「trainspotting」です。そしてunderworldの’born slippy’。ドラマティックな展開をぶった斬るいきなりの四つ打ちオンリーな流れに驚きましたし痺れました。映画のストーリーも英国のすごく底辺を描いてあって、しかも地元の逃げられなさ感、腐れ縁の人間関係にすごく足引っ張られる感が若干デジャヴであんまり他人事とは思えない感じでとてもリアルでした。これは繰り返し見てしまう映画です。続編のT2も面白かった。サントラも全体的に良くて、brian eno, new order, iggy pop, primal scream, lou reed, blurなどなど。。

第2回はどこがジャズ脳やねん、という感じになってしまいました。本当はジャズが底流にある感じのまとめ方をするつもりでしたが途中でグツグツ煮込んだ濃縮ごった煮スープ的になってしまったので第2回part1はこれで終わりたいと思います。

Otomizo Records

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