• Column

美女ジャケハンター第12回 美女は遅れてやって来る


         

私が所有している美女がジャケットに映ったレコード、通称「美女ジャケ」を
毎週捕獲(購入)した順番にご紹介しています。

今回も最近多い「順番度外視」回です(笑)
昨年末に素晴らしい美女ジャケを沢山捕獲しましたので、その中からピアニストであり作曲家、編曲家、指揮者でもあるスタンリー・ブラックの
「Tropical Moonlight」をご紹介します。

           

▶︎「Tropical Moonlight」について

Stanley Black And His Pianoの「Tropical Moonlight」(1957年リリース)

1. Tropical
2. The Kiss In Your Eyes
3. Paradise
4. Cherry Pink And Apple Blossom White
5. Two Silhouettes
6. Come Back To Sorrento
7. Turista
8. April In Portugal
9. La Vie En Rose
10. Jamaican Rumba
11. Stanger In Paradise
12. Atlantide (Sands Of Tiime)
13. Mon Coeur Est Un Violon
14. Neja Do Cabelo Duro

              

音楽のジャンル「エキゾチカ」ブームど真ん中の1950年代後半にリリースされたスタンリー・ブラックのカバーアルバムです。

・・・あれ、美女ジャケじゃない!と思われましたね?

ジャケットのパターンが幾つもあり、同時期か少し後だと思いますが
「DECCA RECORDS」の子会社である「LONDON RECORDS」から下記ジャケットでもリリースされています。
(同じ内容のジャケ違いはコレクター心をくすぐります笑)

翌年にリリースされたアルバム「Cuban Moonlight」と対な作品としても知られています。

低音で奏でられるピアノの主旋律と、可憐な高音のアプローチ、寄り添うような優しいパーカッションが特徴的な「Tropical Moonlight」ですが
時代のムーブメントや状況に応じて、様々なジャンルに移行してきたスタンリー・ブラックだからこそ出来るアプローチだと思います。

「Tropical Moonlight」もそうですが
1950年代のスタンリー・ブラックのエキゾチックサウンドは他の「エキゾチカ」作品に比べ楽器の数が少なく、ピアノメインで構成された曲が多いです。

「DECCA RECORDS」が1961年に開始した録音システム「Phase 4 Stereo」で作られたスタンリー・ブラック作品は、映画のような臨場感がありますが
導入前に作られた「Tropical Moonlight」は、シンプルで心地いいエキゾチックサウンドが楽しめます。

              

               

▶︎「Tropical Moonlight」と私

↑我が家の「Tropical Moonlight」です。上記で説明したジャケットと全く違う美女ジャケです。

           

上記でご紹介した作品と違う美女が映った「Tropical Moonlight」ですが
ジャケット裏面のクレジットから察するに1962年にリリースされた日本盤の「Tropical Moonlight」だと思われます。

↑ジャケット裏面です。国内盤は解説がみっちり書かれており、読み物としても楽しめます。

           

いつも疑問のですが、オリジナル盤リリース後の「美女ジャケ」写真元は何処なのか?国内のレコード会社のライブラリー写真から引用しているのでしょうか。それとも提携している海外のレコード会社のライブラリー写真を使っているのでしょうか。
そして何故、再発盤で違う美女をジャケットに投入するのでしょうか。肖像権なのか・・・相変わらず謎が多い「美女ジャケ」です。

写真元が気になる「Tropical Moonlight」を捕獲したのは2023年大晦日。
「捕獲納め」をするべくレコードショップに出かけたところ、入口のジャンク品コーナにて300円で発見しました。

スタンリー・ブラックは以前に別のエキゾチック作品を捕獲してるし、
タイトルに「Tropical」のワードが・・・。間違いなくエキゾチックな作品だろうと試聴をしてみたところ、想像以上にミニマルでスタイリッシュなエキゾチックサウンドじゃないですか!
試聴なのにガッツリ聞き込んでしまい、店員さんに「お待ちの方がいらっしゃるのでそろそろ試聴時間終わりです」と声をかけられる始末(笑)
ジャケットの傷みも許容範囲で、問題なく全曲飛ばずに再生出来るので捕獲しました。

妖艶に曲を先導するピアノの低音と寄り添う控えめなラテンパーカッション。
特にピアノ始まりの曲はその場の雰囲気をしっとり包んでくれる。

今月はDJプレイをさせていただく機会が多かったですが、雰囲気を変えてくれる「Tropical Moonlight」には本当に助けられました。
最低限の楽器で構成されているからこそ、お店のサウンドシステムで1音1音じっくり聞きたくなってしまう作品。ついついプレイしたくなります。

私が持っているジャケットはオリジナル盤ほど「トロピカルさ」はありませんが、曲全体のミニマルで繊細な雰囲気が十分に伝わってくる。
そして、ポーズの違和感・・・いかにも倒れそうな姿勢ですが一体どうやって撮影したのか未だによく分かりません(笑)

Spotifyで「Tropical Moonlight」をお聞きいただけます。
今年は暖冬な気もしますが、南国の温かさを求めてエキゾチックサウンドを聞いてみるのもまた良い。シンプルなピアノサウンドなので暖房が効いたお部屋のBGMにピッタリです。

Share This Post