• Column
  • このサントラ、ちょっとレア。

このサントラ、ちょっとレア。第1回 ペンギンアニメのサントラがとんでもない件

さぁではスタートしてまいりましょう、『このサントラ、ちょっとレア』。レアとおぼしきサントラを独断でばしばし紹介していく当コラム。映画大好きDJの志田一穂がご案内してまいります。

で、いきなりサブタイトルを見て「おいおい初回からアニメ映画かよ~」などと思わないでいただきたい。こちらアニメと言ってもハイ・クオリティーなフルCG映画。キャラも可愛いペンギンたちが歌って踊るミュージカル仕立ての超エンタメ作品、2006年の『ハッピー・フィート』でございます。これちょっとおかしいのが本作の監督でして、なんと最新アクション大作『マッドマックス:フュリオサ』ジョージ・ミラー御大。なんで怒りのデス・ロードが可愛いペンギンアニメを?と思うのですが、実はこのペンギン映画がヒットしたおかげであのデスロードが製作できたという。映画界もなかなか大変なのでございますね。まぁ関係ないですが。

とにかくお伝えしたいのはこの『ハッピー・フィート』のサントラの方なのです。これがなかなか一筋縄ではいかないトラックたち。まずオリジナルで作られたテーマ曲。こちらはあのプリンスによる、この映画の為に書かれた「The Song Of The Heart」。これがとにかくキュート&ポップなパーティー・トラック。しかも彼のオリジナル・アルバムには末収録というレア曲(ベスト盤には収録)。プリンスと言えば『バットマン』でも個性的なテーマ曲「Batdance」がありました(映画には結局使われませんでしたが)。その曲には映画本編からセリフや効果音などを引用して曲の中に面白く塗していましたけど、『ハッピー・フィート』でもしっかりその手法は踏襲。やはり聴きごたえのある楽曲となっております。さらにプリンス&ザ・レボリューションの「Kiss」と、エルヴィス・プレスリーの「Heartbreak Hotel」マッシュアップ・トラックなんてのもこのサントラには収録されていて、そういう意味ではプリンス推しにとってこのサントラ盤、結構マスト・アイテムではないかと。

さらに本作で注目したいのが、声優参加している俳優のブリタニー・マーフィーが熱唱する、この映画でしか聴けないカバー曲、クイーンの「Somebody To Love」と、アース・ウインド&ファイアーの「Boogie Wonderland」ですね。なんとも豪華な人気曲を大胆なアレンジでカバーしてくれるなぁと驚きましたが、特に「Boogie Wonderland」の方はポリネシアン・リズムに乗りながらこの歌を口ずさんだあと、ここぞとばかりに迫力のサビに突入するという、まさにサントラならではのアレンジ。途中でラップは飛び込んでくるわパーカッション・ブレイクもあるわで、かなりアガるトラックになっているので、これは使えます。

そしてもう一曲、強烈なレア・サントラが潜んでおります。k.d.ラングによるビートルズ・カバー「Golden Slumbers / The End」。この曲をラングが!?と劇場でひっくり返りましたね。しかもメドレー曲なのでどんなことになっているのかと言うと、実にナチュラルに一つの流れへとまとめておられる。これにk.d.ラングのあの包み込むような優しいボーカルが見事にフィットしておりまして、めちゃくちゃリラクシンな、グッとくる一曲になっております。(これもチル・アウト的に使える…はず)

余談ですが、90年代以降、このように映画への既成曲利用が盛んになっていったわけで(そのワケは追い追い話していきますね)、特にビートルズ楽曲なんてのは使用するための権利処理費がハンパではないため、結構こうしてカバー・アレンジして使っている作品、少なくないんですよね。まぁカバー使用でもお金はかかると思うのですが、とにかく、最後に何が言いたいかと言うと、映画の中のビートルズ・カバー曲もこれからたくさん紹介していきます、ということでして、もちろんそれに限らずこうした意外なカバー曲もどんどんご案内していきますね。

では今週はこのへんで。また隔週金曜、カッキンに!

recommend

『Happy Feet  Music From The Motion Picture』Various Artists

>>>CD, Apple Music, Spotify

志田一穂がジョニー志田名義でお送りしている湘南ビーチFM/SBCラジオ『seaside theatre』にて、今回紹介したサントラ「Boogie Wonderland」を5月26日20時からの番組にてOAいたします!こちらから聴いてね! 湘南ビーチFM | Shonan BeachFM 78.9

Share This Post