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このサントラ、ちょっとレア。第11回 カントリーと映画の相乗効果がなかなかな件

レアとおぼしきサントラを独断で紹介していく『このサントラ、ちょっとレア。』映画が三度のメシレベルの志田一穂がご案内してまいります。

さて、掲題の通り今回はサントラにカントリー・ミュージックが登場し、いやぁなかなか似合っているじゃないの、しかもちょっとレア音源なんじゃないの?という楽曲たちのご報告。カントリーと言えば舞台はアメリカになるのかな?とお思いでしょうが、実際はトラディショナルな音楽の一部だったりするので、深く掘ればアメリカのみならずヨーロッパやアジアにだって存在はするのです。そもそもはイギリス系移民がアメリカにて伝播していったという説もあるわけですし、その範囲はなかなかに広いのですね。もちろんカントリー・クロスオーバーといった進化系も含めて。で、今回はと言うと、まずはやはり本場アメリカ映画の中で渋く奏でられたカントリー・サントラを紹介していきたいのであります。まずはこちら。

我らがクリント・イーストウッド御大の『ダーティー・ファイター』シリーズですね。ビールと女とカントリー・ミュージックを流してくれるラジオしか頭の中にない、長距離トラック・ドライバーにしてストリート・ファイター、ファイロが主人公。もちろん演じているのは当時マッチョマン(!)だったクリントアニキ。この最高にワイルドなシリーズ第一作目『ダーティー・ファイター』(1978)の主題歌、「Every Which Way But Loose」(作品英題同名)を歌ったのがエディ・ラビット。80年代にはケニー・ロジャースとタッグを組んでツアーを周ったり、ドリー・パートンの前座を務めたりしたカントリー・シンガーですが、際立ったヒットソングは、まぁこれだけ。しかもそれもクリント映画のおかげと言わざるを得ない。でもこの主題歌がとてもイイんです。それまで荒くれマカロニ・ウェスタンのガンマンや、無骨な刑事ハリー・キャラハンといったクールなイメージにとらわれていたクリントが、この映画とこのカントリー・ソングで、今度は一気にアメリカのロードを走る、強く優しくたくましいタフ・ガイという第三のキャラクターを手にすることとなったわけですね。

二作目の『ダーティー・ファイター 燃えよ鉄拳』(1980/妙な副題は明らかにブルース・リー映画のヒットの影響だと思われるがそもそも時代遅れ)も、主人公ファイロの傍若無人っぷりは前作を凌ぐほど痛快で今回もめちゃくちゃやってくれるキャラに観客は大喜び。で、当然アメリカではまたまた大ヒットいたしました。そして主題歌(というか挿入歌か)は、勢いづいてクリント本人が歌っちゃったというレア・トラック。しかもあのレイ・チャールズとのデュオときたからたまらない。この曲「Beers To You」もカントリーならではの酔っ払いたちが歌うに相応しいハッピーな楽曲。どちらも屋外での飲み会で流したら最高な歌たちですから、要チェックです。

因みに2003年『Piano Blues』というTVドキュメンタリーで二人は映画で再共演!監督はもちろんクリント・イーストウッドです。

お次もクリントのカントリー・サントラが最高な作品、『ブロンコ・ビリー』。誰ですかステーキ屋かよとか言っている人は。いや無理もないけど。でも『ブロンコ・ビリー』と言えばクリント御大ってことはこの機会にインプットしていただきたいですね。

で本作、今度のクリントの役回りは西部の男どもが喜ぶようなウエスタンな演目で楽しませる旅芸人集団のボス。こうなると舞台のBGMそのものが粋なカントリー・ミュージックのオンパレードで、結果的にジョッキでビールを呑み続けながら観たい映画ナンバーワンな作品。主題歌がまた切なく響くカントリー・バラッドで、ロニー・ミルサップが歌う「Cowboys & Clowns」。これが泣ける。あの『ブルース・ブラザース』の中で歌われる「Stand By Your Men」レベルで泣ける。カントリーってスロー・バラードになると殺人的に涙腺刺激するんですよね。しみじみしたい方、是非聴いてください。

そういえばロニー・ミルサップと言えば「What A Difference You’ve Made In My Life~憧れは果てしなく」(1977)の大ヒットを飛ばしたシンガー。すでにこの楽曲で時代先取りのカントリー・クロスオーバーで大成功しているんですね。要するにベタベタなカントリー・ミュージックにポップスのテイストをうまく融合(クロスオーバー)させてアレンジした曲。70年代半ばから後半にかけての音楽事情って、そうした変化の側面がたくさんあるから面白いんですよね。

さて、オマケの一曲。アメリカ大陸の東から西へ爆走レースに興じるハル・ニーダム監督のカー・アクション映画、皆大好き『キャノンボール』(1981)ですが、同名主題歌を歌っているのはやはりカントリー・シンガーにしてコメディアンでもあるレイ・スティーブンス。誰ですかあぁ、あのプロレスラーのとか言っている人は(確かに同姓同名がいる)。そのレイが挿入歌も歌っておりまして、志田としてはこちらもカントリー・クロスオーバーの名曲として推しておきたい。「Just For The Hell Of It」。映画の中でも壮絶レース中でありながら、レーサーたちはそれぞれのドライヴを基本的には楽しんでいる、そんな風景がこの歌に乗ってほのぼのと描かれているのです。たまらんですよ。バカばっかりなアメリカ野郎たち、そんなお前らがなぜか愛しいぜと、ついグッとくるシークエンスです。カントリー・ミュージックって、映画と一緒に聴くと相乗効果ホントにパないですね。

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『Beers To You』from『ダーティー・ファイター 燃えよ鉄拳』

>>> CD, Vinyl

志田一穂がジョニー志田名義でお送りしている湘南ビーチFM『seaside theatre』にて、今回紹介したサントラ数曲を番組でもOAいたします!こちらから聴いてね!(何をかけるかはお楽しみ)

湘南ビーチFM | Shonan BeachFM 78.9

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