先日、某コーヒーショップで、U氏とそのパートナーのMさんと会った。
Mさんとはもう4、5年来の付き合いで、僕のDTMセミナーに2人して足を運んでくれたのがきっかけでU氏とも知り合うことが出来たという訳だ。
このU氏、某クラブの音響担当をされているらしく、音にかなりの拘りがある。
たまたまかかっていた僕の曲を聞いてマスタリングの甘さを指摘されたりと、耳はかなり鋭い。
そんな彼とコーヒーを飲みながら話したのは、最近のDJの音量に対する価値観だった。
ご存知の方も多いかと思うが、DJミキサーには音量を視覚的に捉えるためのLEDメーターが付いている。
このメーター、音の大きさに比例して
緑→黄色→赤と色が上に伸びていく。
U氏が言うのは、「最近のDJは赤でも気にしないし、赤がいいとすら思ってるんですよね。」
赤とは、ピークを過ぎた、いわゆる「音が割れている状態」だ。
皆一様にとにかく大きな音じゃないと満足しないらしい。
しかし、音が割れている、となると問題だ。
「1番心地よくノレるのは緑なんですよね。」
U氏が続ける。
確かに僕もそう思う。
最近たまにクラブに行くが、いい音に巡り合ったことがない。
5分とフロアにいられないのだ。
単純に音が大きすぎるからである。
耳にも悪そうだし、
むしろ自宅のKRKでDJした方がはるかに心地いい。
僕はダンスミュージックは小さい音でも十分ノレる、と思っている。
そう、低音のポテンシャルが1番発揮されるのは
緑、なのだ。
音が割れていると言うことは、水が溢れているのに、容器に注ぎ続ける行為と一緒だ。
また、あらゆる場所で場違いに大声で話すのと変わらないとすら思う。
それらは一様に不快だ。
自分がDJする時はメーターを細かくチェックして黄色や赤になっていないか気にかけるようにしている。
僕たちはDJだからこそ、人に心地よい音を提供しなければならないと、改めて考えさせられる。