• このサントラ、ちょっとレア。

このサントラ、ちょっと、レア。第22回 マッシュアップサントラ発見、と思ったら未公開作だった件

レアとおぼしきサントラを勝手気ままに紹介していく『このサントラ、ちょっとレア。』 4/24に新刊出します、志田一穂がご案内します。

さて、こう見えてもワタクシ、DJ歴18年でございまして、と言っても別にスクラッチとかきれいな繋ぎなんかは出来ないわけでして、ただただ好きなレコードをひたすら交互にかけて場の雰囲気を作っていくという、いわゆるDJもどきだったりするのですが、それでもいっぱしに中古レコード屋へ行くと、結構熱心にジャケットの楽曲クレジットを見ては、なんかいい曲をカバーしているレア・トラックは無いものかと、日夜掘ってきたりもしてきたわけです。それはサントラもそうですが、普通のロック&ポップスについても同様でした。

しかしそれもラジオ番組を始めてからは状況一変。レコ屋へ行くよりApple Musicのサブスクで探す方が比べ物にならないくらいフレキシブルに選曲が進んだので、すっかりレコ屋への足も遠のき、挙句はやっぱりすっかりDJもどきとしてのリアルな場でのプレイも少なくなりました。まぁそんなのDJとしてどうなん?という話しなんですが、思えばコロナ禍で急遽配信元年となった音楽環境の変化という状況もありましたし、サブスク活用を思い切ってやり始めたら思わぬレア・サントラを発見できた、なんて良きこともあるんですね。今回はそんな話しをしたいと思うのです。

Apple Musicの便利なところは、サブスクで探し当てた楽曲をダウンロードしたい、購入したいと思ったとき、アルバム丸ごとではなく一曲一曲、購入できるというシステムになっているところだと思ってまして、え?いちいち購入なんかしない?…ですよね? でも自分はラジオで使いたいから購入するんです。データを番組内で使わねばならないわけで、サブスクで聴くだけではそこまでの作業が出来ないと。で、もう一つ便利なことがあって、それが楽曲の検索ですね。え?当たり前じゃんそんなの…ですよね? でも自分の場合は意外なカバー曲を探してDJやラジオで使ったりすると楽しさ共有ハンパなし、と思っているので、それこそレコ屋の店頭でジャケを確認しまくっていた現場捜索時代に比べたら、一瞬でバババっと検索してくれる機能は本当にありがたいわけです。

で、本題。先日そんなふうに闇雲に検索しまくっていたら、とんでないレア・サントラを見つけてしまったんですよ。それがこの「Valley Girl」なのです。

え?こんな映画知らない?…ですよね? 自分もまったく知らないこの映画、だけど検索ヒットしたのは、80年代のヒット曲の曲名検索をしたからで、このときはシンディ・ローパーの「Girls Just Want To Have Fun」で調べていて辿り着いたという流れ。へ~映画の中でこの曲が使われているのか、と聴いてみたら、いやいや結構ノリノリのカバーじゃないかと。で、なんだこの映画はと、アルバムとして列挙されている他の楽曲を見てみると、おー凄い凄い、GO GO’sの「We Got The Beat」もやってるじゃない。カーズの「You Might Think」も、マドンナの「Crazy For You」も、a-haの「Take On Me」までやってるぞ。さらにですよ、モダン・イングリッシュの「I Melt With You」や、メン・ウィズアウト・ハットの「The Safety Dance」、ワン・チャンの「Dance Hall Days」なんていう、ポテンヒット的佳曲なんかも潜んでいて、なるほどこれはまさに80sロック&ポップスのジュークボックス・ミュージカルな映画なのだなと認識。

これらすべて80sカバーだから、なかなか良きサントラを見つけたなと喜びつつ、さらに曲名を確認していくと…、なんだこれ、「Hey Micky Call Me」とは。こんな曲あったか?と聴き始めると、おおやはり映画「チアーズ!」でもフィーチャーされたB・Witchedの「Micky」じゃないの。と思いきや、いきなりブロンディの「Call Me」のサビが飛び込んできたぞ!でもベースは「Micky」の“ヘイ、ミッキー!”も続いているし、わーこれマッシュアップ・トラックだわと、さらに嬉しくなったのでした。いやーサブスク万歳

00年代から10年代あたりでちょっと流行った、複数曲をうまくMIXして一曲にまとめてしまうというマッシュアップ。なんだか懐かしいと思いつつも、他にもあるんじゃないのと、さらにアルバム楽曲を見てみると、ありましたありました。あからさまに「Aerobics Mash Up」というタイトル曲が。要はエアロビクス・シーンで流れる人気曲のマッシュアップですね。しかもこれ、前述した二曲マッシュアップを越える4曲で構成されていて、聴いていて面白いのなんのって。まずはデペッシュ・モードの「Just Can’t Get Enough」から始まり、流れるようにマドンナの「Material Girl」へ(お見事)。そしてホール&オーツの「I Can’t Go For That」のサビがインサートされ(そうくるか)、さらにソフト・セルの「Tainted Love (汚れなき愛)」までが絡みこんでくるというマニアックさ(というかかなりのオタク選曲)。そしてラストは再び「Material Girl」に戻り〆と、いやいやなんだか本当にこういうの懐かしいし面白いし聴いてて楽しいなぁと、何度もリピートしてしまいました

そしてその興奮とともに、一体いつこんな映画やってたんだと調べてみると、タイトル「Valley Girl」でなんと二本の作品がヒット。一本は1983年のニコラス・ケイジ主演映画の「ヴァレー・ガール」

なんだこれは知らないぞ…と、それもそのはず。こちらは日本劇場未公開作品で、80年代にビデオ・ストレート「アップタウン・ガール」となってリリースされたもの…というかこれ、当時未公開作品をレンタルビデオでばんばん出していたバップのビデオじゃないか!?と調べたら、やっぱりそうでした(汗)。

若きニコラス・ケイジがなかなか初々しく微笑ましいディス・イズ・ティーンムービーですね。いやはやしかしこの副題、「他人(ヒト)の女(スケ)に手を出すな」って…なんとかならなかったのでしょうか、と苦笑しながらようやく着地。

で、もう一本はというと、そう、こちらが今回のサントラで彩られている2020年の映画「ヴァレー・ガール」。単に同タイトル?83年版と何か関係があるのかしら?と調べてみると、なんてことはないこちらはその83年版のリメイク版なのでした。

しかもミュージカルとしての再映画化。そうか、だから80sロック&ポップスの曲ばかりで構成されていたんですね。音楽の部分でオリジナル版にリスペクトしていたってことでした。これで一番の謎が解けたってなもんです。しかし、主演のジェシカ・ロース(ローテ)、共演のジョシュ・ホワイトハウス、監督のレイチェル・ゴールデンバーグと、誰?誰?誰なの?といった布陣。こちらももちろん日本劇場未公開と、まぁ知らないわからない聞いたことないのが当然の作品ではございました。

オリジナルはこんなに楽曲は塗されていない普通の青春物語だったようですが、しかしさすが80sティーン・ムービー、サントラはしっかりとロック&ポップス・コンピになっていたようですね。

2020年版でもカバーされていたモダン・イングリッシュに、メン・アット・ワーク、サイケデリック・ファーズなど、これまたディス・イズなバンドたちが集結しておりました。で、このオリジナル83年版、結構ファンが多いようで、2020年にミュージカルとしてリメイク化というニュースが出た際、「懐かしい、あのヴァレー・ガールが!?」とSNSで盛り上がっていたようなのです。ティーン・ムービーとしてカルトな人気があったんでしょうね。

というわけで80年代、そして新旧未公開作品たち、まだまだ深いです。そしてサントラも、掘れば掘るほどレアの巣窟です。今回楽しめたのも、やっぱりサブスク様様でした。そしてまたさらなる探求は続いていくのであります。

では次回もカッキンで。

志田の映画音楽番組、湘南ビーチFM「seaside theatre」もよろしくです!

湘南ビーチFM | Shonan BeachFM 78.9

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