レアとおぼしきサントラを勝手気ままに紹介していく『このサントラ、ちょっとレア。』 いよいよジャッキー・チェンの『ベスト・キッド:レジェンズ』公開ということで、めでたいめでたいと独りほくそ笑んでいる志田一穂がお送りいたします。

さて、何をいきなりジャッキー・チェンなの?と呆れている皆さん。まぁ『ベスト・キッド:レジェンズ』公開記念かと受け取っていただければよいのですが、しかしですね、これまでもちょいちょいお伝えしてきたと思いますが、志田は80年代が青春丸刈りリアルタイムなので、その時代に映画やテレビを観てきた者にとって、もっと言えばその時代のすべての男子にとってですね、ジャッキーはもうヒーローを通り越して、神みたいな存在だったのですよ。ですから、なんでいきなりジャッキーなの?じゃないんです。根底に流れているジャッキー道は永遠に志田の(そして同世代男子たちの) 心の師として君臨しているわけです。わかりましたか?だから今回のコラムは、それこそ満を持してってやつなんです。
まぁそんなわけで、とにかく80年代はジャッキー全盛期で彼の映画、観まくりました。つくばの科学万博にあのレイモンド・チョウとイベントで来日されたときも、高校さぼって朝から並んで熱中症でくらくらになりながらも生ジャッキーしっかり観ました(そして倒れて救急小屋へ担ぎこまれましたが)。

その後、90年代とか00年代くらいまでは頑張って彼の映画、追っかけ続けていましたが、さすがにジャッキーの多作さと言ったらなんでも撮っちゃう三池崇史ばりに凄かったので、すべてを網羅出来ているわけではありませんでした(公開規模もどんどん縮小していきましたし)。でもちょうど去年、久々大々的に全国ロードショー公開となった『ライド・オン』をジャッキー来日舞台挨拶とともに観たときは、なかなかどうして、嗚咽レベルで泣けてしまいました。

それほどまでにジャッキー愛を持っている志田ということを理解していただいた上で、この「ちょっとレア」コラムへと突入していただきたいのですね(前置き長くてごめんなさい)。
で、今一度志田の80年代へと戻るのですが、とにかく当時はジャッキー映画の公開作品が多くてですね、しかも、東宝東和、東映洋画系、さらには松竹洋画系と三つ巴になりながら続々と新作が上映されていたのです。で、必ず観に行っていた丸刈り中学生の志田は、それらを観ながらいちいち違和感を感じることが多々あったと。なんで?ジャッキー愛炸裂なのになんで違和感?と思われますよね。その違和感とは、なんとその作品たちの、サントラについて、だったのです。

最初に感じたのは忘れもしない1983年の夏、たまたま母の実家がある名古屋へお盆の里帰りをしていたとき、『カンニングモンキー天中拳』公開記念として、名古屋公会堂にて「ジャッキー・チェンわいわいカーニバル フィルムマラソン」というイベントがやっていたのです。それを知ってしまった丸刈り志田少年としては是か非でも行かねばと大コーフンしてしまうんですね。それまでジャッキー映画は大体がテレビの映画番組などで観ることがほとんどだったので、フィルムマラソンと称して『少林寺木人拳』(1976)『スネーキーモンキー蛇拳』(1976)『拳精』(1978)『龍拳』(1979)、そして『天中拳ダイジェスト』が大きなスクリーンで観れる!しかも一挙上映!なんて言われたらもうヨダレだらだらで即行チケットを入手して名古屋公会堂へインしたわけです。で、全部観たと。そこではじめて、やっぱり何かがおかしいじゃんジャッキー映画…、と確信したのです。

まず『少林寺木人拳』ですね。劇中流れる歌が、まさかの“日本語歌詞”なのです。いやいやいや、これ香港映画なんでしょ?と。しかも日本の公開はジャッキー人気にあやかって1981年だけど、実際の製作年は1976年じゃないのと。なんでそんな時代に日本語歌詞のテーマ曲がこの映画に流れているのよと。タイトルの「ミラクル・ガイ」もなんだか香港映画らしからぬタイトルで怪しさMAXだし、歌っているのは謝花義哲という日本の方。なんで?なんで??と、パンフレットを買ってみると、そこに書いてあることを読んでびっくり。この歌、作曲が林哲司じゃん! 林さんと言えばあなた、杉山清貴とオメガトライブでしょ!菊池桃子でしょ!もっと言えば今になって世界中で大ブレイクしているシティポップ「真夜中のドア~Stay With Me」(1979)でしょ!と。
ワナワナしながらさらに調べてみるとですね、『龍拳』の主題歌「Dragon Fist」の作曲も林哲司センセイなわけですよ…。

そこで、あれ?もしかして…と、既に鑑賞済&主題歌レコードも購入済だった『蛇鶴八拳』(1978/日本公開1983。もちろんジャッキー人気ブレイク後に輸入したかつての主演作)の曲のクレジットも確認してみると…やっぱり林センセイだ! (確かに杉オメのデビュー曲「SUMMER SUSPICION」1983 にそっくりだ)

じゃあ『拳精』はどうなん?と確認すると、こちらは「チャイナ・ガール」というポップでテクノチックなテーマ曲で、HEROという歌唱クレジット。

おぉこれは歌詞が英語だから、さすがにオリジナルで作ったんだよな、よしよし、なんて思いつつ調べてみると、HERO自体が日本のアーティスト長沢ヒロって人のバンドだ!やっぱりこれも香港映画で流れる謎の日本の楽曲じゃん!もう発狂状態になっていったというわけです。
極めつけはこのわいわいカーニバルの主役であった、新作として公開間近の『カンニングモンキー天中拳』(1980)です。このときはさすがに全編試写会ということではなく、ダイジェストが上映されたわけですが、ここで流れているテーマ曲、のようなものも、やっぱりなんだかどこかで聴いたような、しかし自分的には妙にフィットしてくるゴキゲンなナンバーで、ゆえにまたまためちゃくちゃ違和感に苛まれたわけです…

それもそのはず、こちら、作曲クレジットが武川行秀…って、この人タケカワユキヒデじゃん!! わざわざ漢字表記にしているのはちょっとこんなのに曲提供しちゃって恥ずかしいからですか!? 的な。しかも編曲はミッキー吉野師匠!! 待て待て待て、これ完全にゴダイゴ・ワークスじゃんよ!! どうりで小学生の頃から悟空だ999だポートピアだとハマりにハマっていた真性ゴダイゴファンのオレにハナっから刺さっていたはずだよ!と、呆れ驚きのけぞってしまったのでした。
いやはや、この志田少年史におけるジャッキー映画主題歌騒ぎは、現在のようなネットもない時代、それはそれは巨体なる謎として立ちはだかっておりました。しかしこのような状況のウラには、尚のこと驚愕的な事実がはびこっていたのです。ジャッキー映画主題歌についての謎症例はまだまだあるので、今回はここまでにしておいて、次回へと続くこのコラム、初のシリーズ連載といきましょう。では、再来週の第二弾もお楽しみに。それまでは林センセイのジャッキーソングたちをいろいろ探して聴いてみてくださいませ…。ではおまけで志田所有の宝物、ジャッキー生写真をどうぞ(映画雑誌の付録だけどね)。

このサントラ、ちょっとレア。#00〜#32のオモシロサントラエピソード、まとめてどうぞ!
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