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このサントラ、ちょっと、レア。第32回 映画とロックはとてもステキな関係である件

レアとおぼしきサントラを勝手気ままに紹介していく『このサントラ、ちょっとレア。』 遂に明日、7月19日に福岡は博多天神にてトークイベントをさせていただくため、かなりコーフン気味な志田一穂でございます。

さて、なんでそんなに福岡博多で盛り上がっているのかと言いますと、理由は二つほどありまして、一つはこの音楽サイトsonoのスタッフの方々が、小生の新作拙書『映画少年マルガリータ』の発売記念イベントを企ててくれたからなんですね。

こんな連載も持たせていただいている上、さらにイベントまで!と思ったら、え、博多で?とちょっとびっくり(まぁそこそこ遠い…)。だけど、嬉しいじゃないですか、そんな風に考えていただけるなんて!というわけでもちろん行きますと即答でございました。なのでコーフンの前日なのですね。で、もう一つの理由は最後にお知らせするとして、今回はトークイベントのテーマでもある「映画とロックのステキな関係」を取り上げてみたいのであります。

まぁでもこのコラムはあくまで“レア・サントラ”ということなので、今回は、映画の中に意外なロックが潜んでいますが?的な作品、ドカドカ紹介していきたいと思うのですよ。しかも日本映画限定で、ですね。それだけでもうディープな匂いがジワジワ伝わってきますよね。

ではまずはこちら。『不良少年』(1980)です。

もうですね、いきなりタイトル通りな作品です。苦悩と葛藤に苛まれた少年(金田賢一)が家を飛び出し、自らの人生、生き方を掴むべく彷徨い続ける、そして定番の如く社会の闇にハマっていくというブレなしのディスイズ家出モノでございます。ヤクザ路線まっしぐらだった東映の80年代、さてここからどうしよう?と、まだ70年代のキナ臭さが残っている時代に、それはもう、これが不良だと言わんばかりのお約束映画を作り始めました。当時はこの不良少年少女ってのが社会現象的に取り沙汰されていましたからね。シンナー吸引とか校内暴力とか。そうなると映画業界ってすぐにそうした流行をネタにするもので、じゃあ高校生を不良にしとけばいいよなと、結構こういう作品、多発していました

とは言えこういう作品にこそロックが華麗に彩られ、その空気感を、ただの荒々しい社会悪な世界から、「ねぇ、不良なんて青春時代の切ない理由なき反抗さ…」なんてガラリと雰囲気を変えてしまったりするんですね。だってこちらの映画の主題歌はまだフォークトリオ時代のアルフィーなんですから。

その名も「美しいシーズン」。ね?迷惑ばかりかけている不良のバカどもを、サラリと美化するこの絶妙なタイトル。この頃のアルフィーはまだカタカナ表記だし(THE ALFEEになったときはやや苦笑しました)、それにまだまだフォーク期だったので、この主題歌も極めてメロウなバラードとして大展開。さらに高見沢俊彦のスウィーティーでソフトリーなボーカルも相まって、不良少年どころか、まるできらびやかな少女マンガの世界が広がっております(超レアですね)。とにかくこのような映画とのタイアップがイメージと結びつかないアルフィーですが、この楽曲を彼らの純粋な8枚目のシングル曲として聴けば、それはもう当然のことながらなかなかの名曲バラードなのです。因みに花とゆめ的メランコリックな編曲は映画の音楽全般も担当した羽田健太郎先生でした。

お次もまたまた不良映画なんですね。そもそも不良映画ってジャンル、80年代、確実にあったんですよ。で、不良映画の代表作です。『BLOW THE NIGHT!夜をぶっとばせ』(1983)ですね。それにしてもとんでもないビジュアルです。

さて、こちらはタイトルからして結構攻めています。なぜなら、なんとなく英語表記を混在させているので。これは80年代MTV映画などからの影響でしょうか。「ビジョン・クエスト 青春の賭け」的な。そんな時代の流れに乗ったようなところがちょい垣間見えてとてもイヤですね。しかし本作、監督は日活ロマンポルノから『嗚呼!花の応援団』に『博多っ子純情』まで、生々しいヒューマニズムをビートに乗せて激走する巨匠中の巨匠、曽根中生師匠です。そんな、やらずぼったくりな名監督が80s不良ムービーを撮ってしまったからまぁとにかく内容は超ハード。主人公のスケ番役の女優は群馬のホンモノのヤンキー起用という徹底ぶりで、暴力シーンなんて手加減ナッシングのほぼリアルドキュメント。まったく、やってくれるぜ曽根師匠という感じですね。

そしてなにはなくとも音楽担当が、あのストリートスライダーズというから、もうそれだけで失神確実です。しかも彼ら、まだ正式なデビュー前というのに、ライブシーンで出演までしているんですよ。なんという素晴らしき貴重な記録映像。ここでも曽根師匠のドキュメンタリズムが轟いているというものです。

この同年、1983年に彼らはメジャーデビューすることが決まっていたので、先行プロモーション的に映画へ出演したということなのでしょうか。とにかくちょっと初々しい頃のバンドのライブ演奏が拝めるのと、劇中音楽にファースト・アルバム『Slider Joint』に収録された曲の多くが使われていて、スライダーズファンはもちろん、当時のジャパニーズ・ロックを聴いていた方々にとってはなかなかグッとくる作品となっております(不良映画ですが…)。

さぁお次が今回のある意味ド目玉ですね。80s不良ロック映画のレジェンド的作品『魔女卵』(1984)です。

これ、志田としてはジャッキー・チェンの『成龍拳』というカンフー映画を観に行った際の同時上映作品でしかなかったのですが、まず、なんて読むの?ですよね。魔女卵…、マジョタマゴ?魔女というからにはオカルトとか、またはファンタジーもの?かくしてその予想はフルスロットルで裏切られました。完全なる超不良ロック映画だったんです。読み方はマジョラン。卵をラン呼ばわりするなんてセンスあるんだかないんだかですが、実はこのマジョラン=魔女卵、関西で活動していたジャパメタバンドの名前でもありまして、かと言ってそのバンドそのものが主演でもなく、名前だけタイトルにお借りしたと。関西は大阪アメリカ村のライブハウス、バハマで活動していたのが、この魔女卵はじめヘヴィメタバンドたちでありまして、物語の舞台もこのバハマがメイン。とある女子高生がここのバンドをメジャーデビューさせようと必死になる、そんな健気な姿に見惚れていく暴走族の親玉…みたいな。要は、不良+ロック+青春という、配給の東映が、何度も言いますが80年代のナウなブームに置いてきぼりされないよう、不良映画に本格的にロック、しかも驚くべきことに、ヘヴィーメタルという要素を取り込んだという意欲作なんですね。

で、この魔女卵(バンドの方)の楽曲もオープニングとエンディングにばっちりフィーチャー。さすが、そうは言っても関西ジャパメタ注目株だった女性ボーカリストMIZZY(ミジ―)の迫力ある歌声はなかなかの聴きごたえ(だけどステージ衣装はSMボンテージ)。特にエンディング曲の「CATCH LOVE」などはMötley Crüeの「Looks That Kill」のようだ!と思ったらどちらの曲も1984年リリースというご愛敬。魔女卵(バンドね)はこれをきっかけにCBSソニーから4曲入り12インチシングルまでリリースしてもらい映画の力はなかなか絶大だったのでした。

さらにこの『魔女卵』(今度は映画の方)には、例のライブハウス、バハマに出入りしていたインディーズバンドたちも大挙出演していて(ANTI/アンチ、ソフィア、ジーザス、クライスト、マッドロッカーなど)、ある意味80s関西メタルシーンの貴重な映像記録でもあったりするのです。特にライブシーンまでフィーチャーされていたバンドが当時この界隈で大人気だったPRESENCE(プレゼンス)で、都合4曲もの楽曲が劇中で聴くことができます。

PRESENCEと言えばその後90年代にあのJUDY AND MARYのリーダーとなるベーシストの恩田快人が在籍していたバンドですね。いちいち希少な作品で思わずのけぞります

じゃあインディーズバンドだけで一本映画を成立させちゃったのかと言われれば、いえいえとんでもない。そこはやはり低予算とはいえメジャー作品。その他の音楽にはしっかり天下のラウドネスからも楽曲が引用されておりました。彼らの4枚目のアルバム「DISILLUSION ~撃剣霊化~」から「Esper」「Satisfaction Guaranteed」の2曲が登板。さらに関西のクイーン・オブ・ソウル、大上留利子の「大阪で生まれた女」まで流れてまして、もう本当にいろいろな意味で関西お好み焼き全部のせ的な豪華さではありました。でもまぁこれと一緒に観るジャッキー・カンフー映画というのも、なかなか頭がこんがらがって超消化不良でしたね。不良映画だけに…。

さて、前述した『BLOW THE NIGHT! 夜をぶっとばせ』も次に紹介する作品と同様ジョイパックフィルムの配給作品なんですが、もうジョイパックフィルムと聞くだけで当時のワタクシのような映画バカとしては、頑張れ力づくなB級映画配給会社!と思わずエールを送りたくなってしまう、そんな個性派配給会社の1987年作品が『やるときゃやるぜ!COME BACK HERO』です。

このあたりになるとちょっとVシネ的なタイトルになってきて「やるときゃやるぜ」という気合いにもあまり説得力も感じられないのですが、実はこちらが冒頭お伝えした、明日(7/19)、志田が福岡博多に参ることで盛り上がっている理由のもう一つだったりするのです。

作品はフリーターの青年(石黒賢)のドタバタ青春コメディーで、あのアイドルユニット、セイントフォーも出演という妙な切り口もある映画なのですが、ポイントはやはり主題歌です。主題歌「eighteen/エイティーン」を歌っているのがBREAK’Sというバンドなのです。

実はこちら、もともとは1986年メジャーデビュー後活動していたMITSURU with THE BLAKE’Sの名義替えした第二形態バンド。フロントマンである田中ミツルがバンドそのものの一員になってTHE BLAKE’S からBREAK’Sになった第一弾シングルが、本作の主題歌として起用されたものなのですね。

作詞作曲はもちろん田中ミツル。彼こそ80年代、博多のライブハウス照和にて歌っていたところ東京の音楽レーベルにスカウトされた伝説のロッカーであり熱きシンガーソングライターなのです。残念ながらメジャー・シーンでは2枚のアルバムと4枚のシングル(12インチ含む)をリリースし、忽然と音楽界から消えてしまったのです。その後、そんな話題も含めて年月が過ぎていったこととともに、その存在はいつしかレジェンドと語り継がれていったわけですが、なんと2010年代になって田中ミツルが音楽活動を再開。復活を待ちわびていたファンたちを再び激アツなロックの世界へと誘い、現在もその勢いは止まらないといった状況が続いているのです。

そんな田中ミツルさんと、このたび小生志田が福岡でご一緒してトークショーをやらせていただくという、今回の話しの着地点はまさにそこなんですね。紹介した映画主題歌「eighteen/エイティーン」もいかにレア・サントラなのかもお話したいですし、何より志田とミツルさんの関係こそが、映画とロックのステキな関係という、そんなことをテーマにトークを存分にしたいと思っているのです。

というわけで今回は壮大なプロモーション・コラムになってしまいましたが、それでもいつもよりレアネタをガシガシ展開させてはいただきましたので何卒ご容赦いただきければ。そして是非明日は福岡は天神のトークショー会場へ遊びにいらしていただけると嬉しいです。志田の拙書「映画少年マルガリータ」の販売もありますし、ミツルさんの現在製作中、新作アルバムの話も聞けると思います。まだ間に合うお申込みはこちら。映画とロックのステキな関係 トークイベント 出演 志田一穂 田中ミツル

では、何卒よろしくお願いいたします。こちらのコラムはまたカッキンで!

志田の映画音楽番組、湘南ビーチFM「seaside theatre」公式ブログはこちら。

湘南ビーチFM | Shonan BeachFM 78.9

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