• Column

第7話:「DJ修行の始まり」

それからというもの、たくちゃんは毎日のように「Blue Broccoli Records」に通うようになった。

最初はレコードを眺めるだけだったが、店長のDJ Blue Broccoliさんと話すうちに、どんどんと音楽の魅力に引き込まれていった。

「ほら、このレコードを触ってみな」

ある日、店長がターンテーブルの前にたくちゃんを座らせた。

「DJってのは、ただ曲を流すだけじゃないんだぜ。音と音を繋げて、新しい流れを作るんだ」

そう言って、店長は片手でレコードを動かしながらスクラッチを披露する。

「す、すごい……」

「やってみろよ」

恐る恐る、たくちゃんはレコードに手をかける。ゆっくりと動かしてみるが、ぎこちない音しか出ない。

「おいおい、そんなに怖がるな。リズムに乗るんだよ。もっと自由にさ」

店長のアドバイスを受けながら、たくちゃんは少しずつレコードを動かしてみる。何度も繰り返すうちに、少しずつコツが掴めてきた。

「そうそう、いい感じだ。あとは練習あるのみ!」

「うん……!」

DJの練習をしているうちに、店長がもう一つの顔を持っていることを知った。

「実はな、俺は本業はカメラマンなんだよ」

「カメラマン?」

「そう、ミュージックビデオとか、アーティストの撮影とかやってるんだ。まぁ、音楽が好きすぎてレコード屋までやってるけどな」

そう言いながら、店長は店の奥からカメラを取り出した。

「お前さんのDJデビューの時も、バッチリ撮ってやるからな」

「えっ、デビュー?」

「おう、そろそろ実戦に出てみないか? 俺の行きつけのBARで、練習がてら回してみたらどうだ?」

突拍子もない提案に、たくちゃんは驚いた。

「ま、まだ無理だよ! だって、ろくにスクラッチもできないし……」

「だからこそ、場数を踏むんだよ。お前がやりたいなら、いつまでも待ってるぜ」

BARでのプレイを進められたたくちゃんは、家に帰るとターンテーブルの前に座った。

「やるしかない……!」

店で気になったレコードを何枚か買ってきていた。

オススメされたもの、ジャケットに惹かれたもの、そしてZUNさんの限定レコード。

ひとつひとつ丁寧に聴きながら、どう繋げるか考える。

スクラッチの練習をして、リズムを体に叩き込む。

まだ不安はあるけれど、それ以上にワクワクする気持ちが大きかった。

「よし……やるぞ!」

たくちゃんは、初めてのDJデビューに向けて、猛練習を始めた。

(第8話へ続く)

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・メタバース×音楽小説

※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。