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第3話:「平和のメロディ」

メタバースの夜が深まる。空には無数のデジタルの星が輝き、遠くのワールドでは仮想花火が打ち上がっていた。たくちゃんはZunさんの隣に座り、ギターの音に耳を傾けていた。

「あの、Zunさん。なんで音楽やってるの?」

そう聞くと、Zunさんはギターの弦を軽く弾きながら、遠くを見つめた。

「俺はな……音楽で世界を変えたいんだよ」

「世界を?」

「そうだ。戦争も争いも、全部音楽でなくせたらいいと思ってる」

Zunさんは深く息を吸い込み、ギターをかき鳴らし始めた。

♪ Zun’s Song -「No More War」 ♪

「♪ Boom! Bang! どこかで鳴る銃声
 俺たちは何を奪い合ってんだ?
 カネか? 権力か? 名誉か?
 本当は愛が足りねぇだけなんだろ?」

「♪ Mother cry… 子どもは空を見上げ
 Peace & Love ただそれを願う
 音楽があれば言葉もいらねぇ
 No More War! No More War!」

たくちゃんは言葉を失った。

Zunさんの歌は、たくちゃんの心の奥深くに直接響いた。戦争の映像なんてテレビでしか見たことがなかった。どこか遠い世界の話だと思っていた。だが、この歌を聴いていると、まるで戦場の風景が目の前に浮かぶようだった。

「……すげぇ」

たくちゃんのスピーカー頭が、震えるように共鳴した。Zunさんの歌には、リアルの世界も仮想の世界も関係なく、人間の本質を揺さぶる力があった。

「お前も感じたか?」

Zunさんはギターを止め、たくちゃんをじっと見つめた。

「音楽ってのはな、言葉の壁も文化の違いも超えて、心と心を繋ぐ力があるんだ」

たくちゃんは何も言えなかった。ただ、胸の奥が熱くなっていた。

「……たくちゃんも、音楽やりたいかも」

Zunさんは満足そうに笑った。

「だったら、始めてみろよ。音楽にルールなんてねぇ。心のままに歌えばいい」

たくちゃんは、ゆっくりと立ち上がった。

「……Zunさん、たくちゃんにも音楽を教えて欲しいです!」

Zunさんはニヤリと笑ったが、少し寂しそうな顔をした。

「お前に教えたいのは山々だが……俺は明日から世界ツアーに出るんだ」

「えっ!? 世界ツアー!?」

「そうさ。おれの音楽が世界にも届くか、試してみたいんだよ」

Zunさんは空を見上げた。

「でもよ、俺がいなくてもお前は音楽を続けられる。さっきの反応を見たろ? お前の言葉はちゃんと届くんだ。だからよ、まずは歌ってみろ」

たくちゃんは唾を飲み込んだ。

「……たくちゃんにもできるかな」

「できるさ。メタバースの世界は広い。ここでなら、リアルでは出会えなかった奴らとも繋がれる。仲間を見つけろ。そして、自分の音を見つけろ」

Zunさんはギターを背負い、軽く手を振った。

「またどこかで会おうぜ、たくちゃん!」

「Zunさん……ありがとう!」

こうして、たくちゃんの音楽人生は動き出したのだった——。

(第4話へ続く)

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・メタバース×音楽小説

※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。