このサントラ、ちょっと、レア。第33回  続・映画とロックはとてもステキな関係である件

レアとおぼしきサントラを勝手気ままに紹介していく『このサントラ、ちょっとレア。』 先日は福岡博多にてロックなイベントありがとうございました。地元諸氏の方々には大変お世話になりまして、感謝感激だった志田一穂が今回もお送りいたします。

さて、今回は映画とロックのステキな関係の続編でございます。前回はこのテーマで日本映画を紹介しましたが今回は洋画編でいきたいと思います。でも、しいて言えば、映画と“ロック・アーティスト”の素敵な関係、ですかね。しかも志田お得意の80sムービーからピックアップさせていただきます。

まずは、先日超特大話題作『メガロポリス』(2025)が公開され、同時に超特大オオゴケを記録して、やっぱりオレたちのコッポラやってくれるぜ!と、いろいろな意味で再評価爆上がり中のフランシス・F・コッポラ監督作品『ランブルフィッシュ』(1983)のご紹介です。(言い過ぎだろ)

この『ランブルフィッシュ』の前作『アウトサイダー』(1983)でYAスター(ヤングアダルト・スター)路線を確立させたコッポラが、今度はマット・ディロンをフィーチャーして撮り上げた、ひたすらクールでカッコいい青春映画ですね。

原作も『アウトサイダー』と同じS.E.ヒントンの小説で、いわばコッポラの青春二部作の一作というヤツです。

で、その『ランプルフィッシュ』の音楽を、ブリティッシュ・ニューウェイブ・レゲエ・パンクバンド(長い)、ザ・ポリスのドラマー、スチュワート・コープランドが手がけているというので、これは放っておけませんね。バンドはこの年、結果的にオリジナルでのラストアルバムとなった「シンクロニシティー」を発表したところで、メンバーそれぞれがソロ活動を意識し始めた頃でもありました。

で、いの一番に動いたのがこのコープランドで(実際はコッポラから依頼されて請け負いました)、得意の縦横無尽なパーカッション・サウンドも盛り込みながら、ちょっとこれまで映画音楽としては聴いたことのない、シンプルでエモーショナルなのに妙にアグレッシブな楽曲を次々と繰り出してくれたのです。このサントラ、唯一無二のロック・インスト・アルバムとして聴いても全然フィットしてくれるから凄いです。言って見れば、ザ・ポリスのスピンオフ的立ち位置なアルバムでもあるので、これはファンなら必ず要チェックなレア・サントラです。

さて、結果コープランドによるサントラはゴールデングローブ賞作曲賞にノミネートされるまでの高評価を得ることになりまして、その後はオリバー・ストーン監督の『ウォール街』(1987)と『トーク・レディオ』(1988)の音楽まで手掛けるほどとなり、サントラ・コンポーザーとしても活躍していくことになったのです。

続いては元ジェネシスだったことをどれだけの80sマルガリータたちが知っていたのかどうなのか、我らがピーター・ガブリエルがサントラ担当した異色作『バーディ』(1984)です。

本作の何が異色かと言うと、こちらいわゆるベトナム戦争ものであり、しかも戦争帰りのシェルショック(心的外傷後ストレス障害=PTSD)がテーマとなっている作品なのですね。全体的に暗いムードで展開してく人間ドラマなのですが、当の病んでいる主人公は、自分が鳥になって空を羽ばたくことだけを夢見ているという、ややファンタジィ要素もあったりするのです。そんな作品にピーター・ガブリエルという個性派アーティストが、アンビエントでありながら彼にしか表現できないロックを多々投入してくれているので、なかなかの親和性をも感じさせ、結果名曲溢れる名盤サントラとなっているのも納得してしまうのです。

厳密にはそれまでのオリジナル・アルバム「ピーター・ガブリエル III」(1980)「ピーター・ガブリエル IV」(1982)からの引用アレンジ曲も含まれるのですが、そこは映画用にうまく使い分けていて、ときどきあの独特なボーカル・コーラスまで聴けるので、マニアなファンにとってはこのアルバム自体が貴重なサブ・アイテムとなっているとか。中でもプロローグに流れる「At Night」と、主人公が空を飛ぶイメージを音像化した特異な楽曲「Birdy’s Flight」は、その後、ジョン・ウー監督の『男たちの挽歌』(1988)にも引用されるほど、リバイバル的にも注目を浴びたりしたのでした。

そのようなわけで、ソロ初期のブライアン・イーノ的サウンドにも充分比較対象可能なインスト・サントラアルバム「バーディ」は、ナイトラウンジにもマッチする激レア・サントラでオススメな一枚なのです。

ちなみに、ピーター・ガブリエルにとってもこれが初のサントラ担当作品。その後も本作の功績が買われ、マーティン・スコセッシ監督の問題作にして超大作『最後の誘惑』(1989)のサントラも手がけました。こちらは「パッション」というタイトルで自身の公式オリジナル・アルバムとしてリリースされているんですね。

本来は映画用に製作を始めたのですが、あまりにもサウンドメイキングに入れ込んでしまって「最早これワシのオリジナル・アルバムだがね!」と名古屋弁ばりに言ったかどうだか、とにかくそれほどの作品となっていったということです。これもこれでレア・サントラですよね。

最後にご紹介したいのが『ローカル・ヒーロー/夢に生きた男』(1983)です。

いやこれいつ紹介しようかずっと寝かせていた名サントラなんですけど、遂にここでドロップ・インでございます。スコットランドが舞台の本作は実にじっくりと人間ドラマが堪能できる傑作なのですが、音楽がもうとにかく秀逸で、担当しているのがダイアー・ストレイツのギタリスト、マーク・ノップラーなんですね。

ロックなコード・マナーにしてリラクシンなスロウ・ミュージックを映画に落とし込んでくれているその技量はさすがとしか言い様がない楽曲ばかり。たまに突出してくるフォーギー・マウンテン・ブレイクダウン調(『俺たちに明日はない』1968)のブルーグラス・サウンドなどはギタリストとしてはお手のものでサントラの中でも良きスパイスになっていたり。アルバム全体を聴いているとこの当時のフュージョンアルバムとしても受け取れますし、クロスオーバー色も強いので、もうとりあえずずっと部屋でかけておきましょうよこのレコード!だって気持ちいいんだもの!と思わず強要してしまうほど良き内容だと思っているのですね。

中でもじっくりまったり、だけどパワフルに聴いてほしいのが一番人気曲「Going Home(Theme Of Local Hero)」です。

ライ・クーダーばりのスライドプレイも聴かせながら、惜し気もなくメロウなキーボードの音色もフィーチャー。後半は明日に向かって走りたくなるような勇ましさもインしてくるところ、さすが根っこはロックだなぁノップラーパイセン!とエールを送りたくなる名曲なのです。

こちらの作品もマーク・ノップラーとしてははじめて手がけたサントラ。やはりというかまたかというか、皆さん、映画音楽の一発目ってかなり気合が入って挑むから、どれも傑作が多いってことなのですかね。ノップラーパイセンはその後『プリンセス・ブライド・ストーリー』(1987)や『ブルックリン最終出口』(1989)など、オーケスレーションも駆使したサウンドトラックに挑んでおり、ロック・アーティストの枠を越えたコンポーザーとしても活躍されておりました。

いやはやしかしロック・アーティストと映画の関係、洋画洋楽で言えば実はまだまだ、これらは氷山のナントカでして、またこのテーマはちょいちょいやっていかねばと思っております。では、またカッキンでお会いしましょう!

このサントラ、ちょっとレア。#00〜#32のオモシロサントラエピソード、まとめてどうぞ!

(これ、どなたか本にしてくれませんか?笑)

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