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このサントラ、ちょっと、レア。第20回 ビートルズのサントラネタを不定期報告する件 その2

レアとおぼしきサントラを勝手気ままに紹介していく『このサントラ、ちょっとレア。』先日は尾道映画祭にてトークショーとDJをやってまいりました、志田一穂がご案内します。

さて、今回は不定期ながらなんとなく恒例のビートルズ・ネタによるサントラ紹介です。前回は第10回目にやりましたね。

『アイ・アム・サム』(2001)や『イエスタデイ』(2019)、『アクロス・ザ・ユニバース』(2007)など、そもそもビートルズ楽曲を全編にフィーチャーした作品から、カバー曲が登場する『フォー・ザ・ボーイズ』(1991)や、『存在の耐えられない軽さ』(1988)などを紹介しました。まぁ10回ごとにビートルズやっていくってことでしょうか。わかりませんが、とにかくまだまだございます。今回は強烈なカバー・サントラ、二曲のご紹介。

まずは2017年の『ジャスティス・リーグ』です。

こちらのエンドロールでブッ放されるビートルズのカバー曲が、ゲイリー・クラーク・ジュニアによる「Come Together」でした。

これハッキリ言って滅茶苦茶カッコいいです。しかもジャンキーXLとのコラボレートなのでサウンド的に超ハードコアです。もともとビートルズのオリジナル曲も早すぎたオルタネイティヴでしたたけど、なるほどミレニアムを越えた20年代前夜にもなると、あの頃のジョンの悲痛なシャウトも、ここまでヘヴィー・ラウドなイキモノに覚醒進化するのだなと、正直映画館で映画の中身以上に興奮しました。

しかもこの曲を『ジャスティス・リーグ』で起用するというのが面白いですよね。ご多聞にもれず(というかこのsonoに出入りしている方々って特に映画フリークではないと思うのでアレなんですが)、この作品ってあのマーベルと双璧を成すDCコミックス、つまりアメリカのコミック=マンガ・レーベルに登場する人気キャラを総結集させた映画なんですけど、

とにかく自分が主人公のマンガの中で活躍してきたヒーロー・キャラたちが、番外編的に皆で集まって一緒になって戦うみたいな話なので、それはもう大人も子供も楽しめる、言ってみればウルトラ兄弟大集合、仮面ライダー全員集合みたいな内容なんですね。で、そいつらと言えばスーパーマンがいてバットマンがいてワンダー・ウーマンとかフラッシュとかもいてと、基本的に超個性派のヒーローたちじゃないですか。でもだからこそ皆こだわりがあって、気持ちも感性もバラバラだから、最初はまったく足並みが整わないんです。要するにオレがオレがで協力し合わない

まぁそれがビートルズ解散前夜に発表された「Come Together」起用の理由というか狙いに繋がるのでしょうね。

「Come Together」はジョン・レノンによる曲ですが、ここで彼は結構痛烈にメンバー4人が今バラバラでどうしようもないぜ、と歌っているわけで、4番まであるこの歌、1番1番メンバーそれぞれを皮肉って茶化したような歌詞のオンパレードなのです。ポールはああだ、ジョージはこうだ、リンゴはどうだ、そしてオレ、ジョンはどうなんだと。それでもサビでは、「Come Together 一緒に来い」と、なんとか呼びかけているわけですね。なるほどそんなメンバーたちの歌は、一方で捉えようによってはチームワークについての救済を請う歌とも取れるわけで、これはなかなか考えに考え抜かれた選曲であるなと思ったりするのです。

そしてそんな意味合いに重視したビートルズ・カバー・サントラがもう一曲。こちらは映画ではなく、全米ABCテレビにて1997年にOAされていたドラマシリーズ『GUN』のオープニング・テーマ曲です。

それがあの「ホワイト・アルバム」収録、「Happiness Is A Warm Gun」(1968)なのですね。これもなかなかレアな選曲です。

このテレビドラマは日本ではそんなに注目されなかったので、作品自体レア中のレアだったりするのですが、なんとこのビートルズ・レア曲をカバーしているのは、あのU2なのです。

90年代のU2はとにかく映画などとのコラボレートが盛んで、それはまるではじめてミュージック・クリップというものを世に知らしめ、忙しい身の代わりに世界中へそのクリップを提供し、人気が醒めないようテレビでOAしてもらっていたビートルズと同様の発想だったりしたと思わされます。U2もまた世界的大人気のバンドですから、そうほいほいと世界中を飛び回れるわけではない。ミュージック・ビデオもマンネリな時代となり、もう少し希少性を持たせ、ブランディングを特化させられる戦略だとすれば、それがまさに「映画」であったというわけですね。ヴィム・ヴェンダース監督の一連の作品や、『バットマン フォーエバー』(1995)、『シティ・オブ・エンジェル』(1998)、『プレタポルテ』(1994)に、『トゥーム・レイダー』(2001) 、『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002)、そして『マンデラ 自由への長い道』(2013)など。あの頃のU2は、本当に枚挙に暇がないほど映画への楽曲提供を惜しまないバンドなのでした。

で、『GUN』ですが、これもタイトル通りGUN=拳銃をテーマにした社会派犯罪ドラマですね。そこでこの「Happiness Is A Warm Gun」=「幸せは、撃たれたばかりの銃」という歌があえてオープニング・テーマ曲として設置。90年代リアルタイムに一番活動的で影響力が強かったバンド、U2に歌ってもらうことで、よりメッセージ性を強化したという、もう徹底的にテーマ優先のコラボレート・カバーなんですね。しかもこれ、ドラマシリーズのプロデュースはあの映画監督、ロバート・アルトマンなのでした。

アルトマンと言えばかつてハリウッドを干されたぐらいヒット作が無かった監督でありましたが、90年代になるとじわじわと復活してきて、監督作が増え、本作シリーズで再びようやく軌道に乗ることができた、そんな映画監督なのです。前述した映画『プレタポルテ』(1994)でもU2は楽曲提供していたので、そうした繋がりもあってか、この『GUN』、なのでしょうか。いずれにしても作品テーマと併せた名曲をカバーすることにより。新旧の魅力を映画(テレビドラマ)から発信していたということなのでしょうね。それにしてもビートルズのこの浸透力と絶対的王様感。面白いですね。わかりやすいですよね。

ではでは、また次の10回目区切りのときにビートルズとサントラについて一緒に情報を共有いたしましょう。次回もカッキンでよろしく!

志田がDJ担当、湘南ビーチFMの映画音楽番組「seaside theatre」もよろしく!(毎週日曜20時より)

湘南ビーチFM | Shonan BeachFM 78.9

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