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このサントラ、ちょっと、レア。第19回 映画主題歌をカバーしてみたらこうなった件

レアとおぼしきサントラを勝手気ままに紹介していく『このサントラ、ちょっとレア。』今年になってまだ映画館に行けていないダメダメな志田一穂がご案内します。

さて、今回はタイトル通り、映画主題歌をカバーしてみたらこうなった、という楽曲の紹介ですが、このコラムでもちょいちょいサントラのカバー曲は紹介しているわけで、いつもと何が違うのだ?といいますと、今回のは純粋に「カバーしてみたのでちょっと聴いてみてくださいな」的カバーなんですね。要するに、いつもは映画の中で登場するカバー曲たちを紹介しているのですが、今回は単純に、ただ単に映画主題歌をカバーしてみましたぁ、というものたち。それって切り口的にどうなの?と言われそうですが、もちろんそこは志田が選曲していますので、これオリジナルとはまた別の楽しさが弾けてるんじゃないの?といった厳選カバー曲となっております。

さて、では一曲目のカバー曲。1952年の「雨に唄えば」です。

テーマ曲「Singin’ In The Rain」のカバーですが、この曲はもともと1929年の『ハリウッド・レビュー』にてはじめて歌われた曲。その後、1939年『バスターキートンのエキストラ』の中でジミー・デュランテが歌い、その後1940年には『リトル・ネリー・ケリー』であのジュディ・ガーランドもこの曲「Singin’ In The Rain」を歌いました。どうしてこんなにこの歌を歌うことになっちゃうのかよとお思いでしょうが、やっぱり、雨が降ろうが槍が降ろうが爆弾が落ちようが、我々は歌って騒いで踊り続けてやるぞという、要するに第二次世界大戦や世界大恐慌とかがあった時代ですから、半ば反戦歌というかメッセージ・ソングというか、そのような存在とも取れるわけですね。そんな楽曲を現代にカバーしたのが、ジャズをベースにしながらもロックやポップスにも分け隔てなく突入しているジェイミー・カラムです。

この曲の収録アルバム「Twenty Something」の中には、他にも『マイ・フェア・レディ』(1964)の「一晩中踊れたら」もいい感じで気だるくカバーされているので、ミュージカル映画好きにはお薦めの一枚かと。

続いては80年代ヒット作から2作の映画主題歌です。『マネキン』(1987)と『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)なんですが、前者『マネキン』はヒット作と言えるのかどうか微妙なのですが、とにかくあのスターシップが歌ったバリバリHappyな80sポップス「Nothing’s Gonna Stop Us Now」という主題歌があったからこそ語られ続けている作品であることは間違いないです

そんなHappyソングを、逆にめちゃくちゃメロウなアレンジにしちゃったビックリソングをみつけたので紹介しましょう。こちら、アイルランドのシンガー、アリ―・シャーロックによるもので、とは言えなかなかの完成度なんです。

もともとYouTubeにエド・シーランのカバーをアップさせてバズったという個性的ボーカリスト。スターシップの高らかに歌い上げるこの曲を、あえて今風にクールなアレンジでカバーしたからこそ、ばっちりハマった感があるのではないかと思っています。

そして後者『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と言えばもう「Power Of Love」しかないですよね。

これをカバーするならどうしてやろうかというくらい若干R&B入っているロックンロールですが、こちらを2010年代のオルタナモードに超変換してしまったのが、ニューヨークを拠点に活躍中の、ディープ・アコースティック・ポップを得意とするアニャ・マリーナです。

こんなにリラクシンなアレンジにしちゃってイマドキのラブ・パワーってこんな感じ?と、クスっと笑ってしまうようなカバーなんですね。脱力系BTTF!でもだから新鮮。これも是非サブスクでチェックしてみていただきたいです。

お次は2013年に一大ブームを巻き起こした、皆大好き『アナと雪の女王』のお馴染みレリゴー=「Let It Go」ですね。

これはリミックスなどもいろいろ出ていて既に多岐に渡って持て囃されている名曲ですが、ご紹介したいのは新世代のカントリー・ロック・バンド、ラスカル・フラッツと、女優、声優、そしてカントリー・シンガーとしても活躍しているルーシー・へイルのコラボレート・カバーです。

昨今のカントリー・ミュージックって凄く聴きやすくて古くさくないので、スタンダード・ロック的心地良さがあるんですよね。そんなアレンジでこのレリゴーも気持ちよさ100倍増しのドライヴ・ソングに変身しております。是非体感していただきたい一曲。

最後はあの007シリーズから一作。ポール・マッカートニー率いるウイングスが歌った主題歌「Live And Let Die」が話題となった『007 / 死ぬのは奴らだ』(1973)です。タイトル曲となったポールのロック・オーケストレーションは当時「こんなの007じゃねぇだろ!」と音楽監督のジョン・バリーを怒らせた問題曲。だけど今やポールのライブでは欠かせない打ち上げ花火炸裂の大人気定番曲。

これをアルゼンチンのエレクトロニカをメインとするレーベル、Music Brokesにて活躍中のAnekkaが、ポスト・ボッサなテイストでカバーしておりました。

このカバーにはオーケストラも派手な花火も一切なし。ひたすらに水の中を彷徨いながら「死ぬのはあなたですからね…」と、不気味に獲物を狙うようなアレンジで迫ってまいります(どんなだ)。いやとにかくまったく別の曲になってしまっていて、かなり驚いてしまうバージョンです。だからカバーって面白いんですよね。

特に映画の主題歌が別のカタチとなって聴かされると、なんだか映画そのもののイメージも、若干違う世界へと誘導させられてしまうように思うから不思議です。それぐらい音楽や楽曲の空気振動って脳内偶像をも揺さぶる超音波みたいなものなのでしょうね(よくわかりませんが)。というわけで、カバー大好き志田による最近ゲットしたカバー収穫報告会でした。ではまたカッキンにて。

志田の映画音楽番組はこちら。湘南ビーチFM「seaside theatre」 湘南ビーチFM | Shonan BeachFM 78.9

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