第四回の記事では、ソフトウェアシンセサイザーについての情報源のひとつとして記事を執筆しようと思います。
筆者はFukuoka Digitalです。よろしくお願いします。
音源の音の太さと実際の使い勝手を想う:
僕は昔、音源の音は太い方が良いと思っていました。
存在感のある音色であれば、かっこいい曲が作れると信じて疑っていませんでした。
たとえば某社の総合音源バンドルの音色について、僕は「か細くてショボい音色を提供しているだけで良い音源と考えてはいない」人でした。多くの有名な作曲家・プロデューサーらが「初心者はこれをまず買え」と言って推奨していた意味がわかっていませんでした。
しかしながら、色々な音源を買い込んで使っていくうちに、少し細めの音色を提供している総合音源の良さというのがわかるようになってしまいました。
その良さというのは、「使い勝手」です。
そして、楽曲制作において重宝する音になり得るポテンシャルであるという事がわかってきました。
音は重ね合わせがあって複雑にハーモニーを作るのよ:
音楽を作る上で、音色の太いもので合わせて作ると存在感のある音楽になりやすいというのはわかると思うのですが、「俺が俺が」と主張する音色が多数寄せ集まるとどうなるか?
Mixが難しくなるのです!(苦笑)
音が太い音源として、ここでは例として「Omnisphere」をあげましょう。
Spectrasonics – Omnisphere – Overview

OmnisphereはSpectrasonicsの総合音源製品で、優秀なサウンドエンジニアの作り上げた多数の音色が入っています。その特徴は、存在感のある音色です。
単体音一つをキーボードで鳴らしてみても、まったくショボい感じがしない太い音、個性的な音が鳴ります。単体の音で音楽を作るとしても、この音源を使っていれば音楽的なサウンドで華をもたらしてくれる感じがします。
この音源で作った音楽は、Audiostockの審査通過率が上がります。本当に!
しかしながら、Omnisphereで多数の音を重ねていって音楽を作ると、途端に難しさに直面すると思います。
音同士がぶつかりあうのです。
そして、音が濁ってしまって音楽とするには音色の調整が必要になってくる感じになってきます。
Omnisphereが音楽制作者の間で「飛び道具」というニックネームで呼ばれる意味がわかってしまいます。
それは主人公になる音色かもしれませんが、多数の音を使って音楽を作る上では、その存在感が邪魔になるような感じに思えることがある音色でもあるという事なのです。
もちろん、主張する音色を音楽中に一つ使って主人公に仕上げれば問題ないのです。きっとあなたの音楽で、しっかりと存在感を持って音楽を奏でる音になってくれます。
ただ、音楽中に主人公が複数混在するという状況だと「ちょっと扱いに困るな」という困ったちゃんになってしまう音ということです。
その点、単体では主人公になってくれなさそうな、か細い音の場合だと、多数の音が重なりあったりする楽曲において使い方次第で魅力が増す音となってくれます。「馴染む」という音は、作曲家・音楽プロデューサーにとって使い勝手が良いのです。
水彩画における、薄い色と、濃ゆい色のペーストにたとえれば分かりやすいかも。濃ゆい色のペーストは薄い色のペーストを覆ってしまった場合、薄い色が栄えなくなってしまいますよね。覆い隠してしまって薄い色が見えなくなってしまいます。薄い色同士だと、それぞれの色が補完しあって重なり合いの部分も色鮮やかさを持つ絵になります。しかし、黒のペーストで絵全体を覆ってしまうならば、他の色はほとんど見えなくなってしまいます。
音楽の場合も、太い存在感のある音色が主張しすぎている状態だと、他の音は聞こえなくなってしまうのです。
使い勝手も考えてソフトウェアシンセサイザーを選ぶ:
では、僕が当初「ショボい感じ」と思っていた音色の音源を紹介しましょう。
Native InstrumentsのKOMPLETEです。
バンドル : Komplete 15 Standard : 比較表 | Komplete
音楽で様々な音色を扱ってきた人ならわかってしまう、使いやすく、馴染む音色が多数収録されています。
初心者、入門者はまずコレを買いましょう!!オススメできます。
(もちろん、KOMPLETEに太い音が収録されていないという意味ではありません。全体的にショボい感じに思える音も多数あるという意味でしたが、もちろん太い音も所々入っています)
参考音楽ビデオ:KOMEPLETE vs Omnisphere