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美女ジャケハンター第72回 イチゴは臓器の味?グリッチに足元をすくわれる音の怪談

私が所有している美女がジャケットに映ったレコード『通称:美女ジャケ』を紹介しています。
今回はStock, Hausen & Walkmanの『Organ Transplants #1』をご紹介します。

    

◆『Organ Transplants #1』について

Stock, Hausen & Walkman『Organ Transplants #1』(1996年リリース)

1. Open Up
2. Schweitzer
3. Lipgloss
4. Honey
5. Wunderbar
6. Sawdust
7. Hemline
8. Vtol
9. Veneering
10. Unlucky
11. Marlboro
12. Bypass
13. Fish Finger
14. Sponge

    

1990年代のアンダーグラウンド・シーンにおいて、サンプリングとサウンド・コラージュの可能性を極限まで押し広げた記念碑的な作品。作曲家カールハインツ・シュトックハウゼンをもじったユーモアに満ちた名義の通り、現代音楽の実験精神と、ポップ・ミュージックの聞きやすさを高度なレベルで融合させています。

本作の最大の特徴は、1960年代の聞きやすいラウンジやボサノバ、モンド・ミュージック、サイケデリックなサウンドの断片に至るまで、あらゆる既製音源の断片を切り刻み、緻密なコラージュとして再構築している点です。タイトルが暗示する『臓器移植(Organ Transplants)』という不気味なブラックユーモアの通り、聞き手が心地よい響きに身を委ねた瞬間、突然のグリッチや変則的なエディットによって足元をすくわれるようなサウンドを展開。
一見するとイージーリスニングのパロディでありながら、構造そのものは極めてアヴァンギャルド。唯一無二の音響空間を作り出しています。

短尺のトラックがめまぐるしく展開される構成は、聴覚的な情報過多の面白さを最大限に引き出し、ジャンク音楽や音響派、あるいはサンプリング、コラージュを軸とするインディペンデントな音楽文化に多大な影響を与えているのではないでしょうか。
ジャンクの山から宝物を掘り起こし、独自の文脈で再配線していく彼らの手法。過去の音楽遺産に対する深い愛情と、それを解体・再構築する破壊衝動が奇跡的なバランスが『編集の魔法』となって今なお色褪せない魅力を放っています。

◆ 『Organ Transplants #1』と私

細野晴臣さんのラジオで流れてきた『Organ Transplants #2』収録の『M2.IKEA』という曲が格好良すぎて今日までずっと探しているのですが一向に出会えず……。

↑探している『Stock, Hausen & Walkman – Organ Transplants #2』です。こちらも美女ジャケ。

そんな中、Instagramで『Stock, Hausen & Walkman – Organ Transplants #1』の買取情報を発見!即DMで連絡し、捕獲しに行きました。
針を落としてみると、全体の塩梅はいいんですが電子音が若干多い印象で、当時の私は『M4. Honey』以外がなかなかDJプレイで流せませんでした。
しかし最近、レコード2枚とCD2枚を同時に流して切って貼ってをライブでする『コラージュDJ』的な手法にハマっており、ここで本作が大活躍!

↑普段はラウンジDJですが、時々こういうコラージュDJをやっています(ライブ録音です)

今ではコラージュDJをする際に必ず持っていく1枚になりました。The AvalanchesやDirty Art Club、Monster Rallyのように、サンプリング音が豊かに混ざり合う作品を集め始めたきっかけでもあります。
本作は私が得意とするMONDO系の音が沢山詰まっているので、最近はラウンジDJの際にもレコードバッグに忍ばせてトライしていますが、どれも短尺なため熟知しないと曲本来の良さを引き出しきれないのが今の課題です。

↑7インチとトラックリストの紙が同封されていると知ったのはわりと最近のこと……捕獲してから2年も経過しているのに。

      

残念ながらサブスク配信はなかったので、YouTubeリンクを載せておきます。
今になって夏が本領発揮してきましたが、涼しい部屋で本作を聞きながらグリッチや変則的なエディットにぐんにゃり揺られるのも乙なもの。美女が食べてるイチゴがタイトルにもある『臓器』を表現している……なんて説をネットで見かけたのですが、夏にぴったりの心霊話……なのかもしれません。

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