このサントラ、ちょっとレア。第9回 スタントマンの超アクション映画にアガるサントラ満載な件

レアとおぼしきサントラを独断で紹介していく『このサントラ、ちょっとレア。』映画がエネルギー源の志田一穂がご案内してまいります。

さて、たまにはリアルタイムの新作も紹介しなくてはと思い、現在絶賛公開中『フォール・ガイ』(2024)の、おじさん世代胸アツなサントラたちをご紹介したいと思います。

『フォール・ガイ』は『ラ・ラ・ランド』で一気にファン層を広げたライアン・ゴズリング主演のアクション・エンターテイメントで、この映画、もともとがアメリカのテレビシリーズで放送されていた「俺たち賞金稼ぎ!! フォール・ガイ」(1981〜1985)のリメイク。主人公はスタントマンで裏稼業が賞金稼ぎという設定ですが、今回の映画版では、ゴズリングはベテランスタントマンという役に徹していました。テレビシリーズはまさに80年代、日テレで日曜夜に放送されていたのでおじさん世代はなんとなく記憶にあるかもです。だけどそれぐらいの印象なので今回の映画版ではリメイクについてのプロモーションはほとんどなかったですね。

それはともかく本作『フォール・ガイ』のサントラです。というか使用曲ですね。いやはやこの監督、『ブレット•トレイン』(2022)のデヴィッド・リーチですが絶対同世代だろというくらい70s,80sに流行ったロックを使いまくりでしたね。実際志田より5歳下でびっくりしたんですが、あの頃のロック&ポップス、ホントに大好きなんだなぁと、観ていて(聴いていて)親近感爆アゲでした。まずしょっぱなから飛ばしてくるのがキッスの大人気曲「I Was Made for Lovin’ You(1979)ですね。

イイところ突っついてくるな~とワクワクしながらのオープニングシークエンスなんですが、物語が進むにつれて、この曲のフレーズが確かに聴こえてくるんです。つまりはインストのサウンドトラックとして「I Was Made for Lovin’ You」が引用されているということなのですね。こういうの、好きですね~。後半の大アクションシークエンスになると、さらにアレンジされたボーカル付きのカバーまで登場。歌っているのは誰かな?と調べたらヤングブラッドという名義で活動中、ドミニク・ハリソンという英国アーティストでした。

これがまた気合い入りまくりの熱いカバー。ヤングブラッドは2022年サマソニ出演、2023年には単独来日ライブもしているから日本でもファンは多いのでしょうね。要チェック&この容赦なきアガるカバーは激推しです。

そして前述したように、リーチ監督によるイキな劇中引用曲をチェックしていくのもこの映画の楽しいところ。キッスのオープニングシークエンス後、オープニングクレジットに突入しますがここでいきなりAC/DCのThunderstruck(1990)にバトンタッチ。

90sのAC/DCなんて持ってくる?という驚きもあったりしますが、とは言えこの時代はAC/DCが再ブレイクした頃なのでこの曲も既にライブなのではお馴染みなヤツ。アンガス・ヤングのジワジワ盛り上げてくるギターフレーズがこれから起こるであろう、とんでもない事態の始まりを予感させる、実に効果的な引用でしたね。ややMCU的ではありましたが。

続いて繰り広げられるパーティー・シークエンスでは、『カリブの熱い夜』(1984)の大ヒット主題歌Against All Odds (Take a Look at Me Now)〜見つめて欲しい」を、ヒロインのエミリー・ブラントがカラオケで絶唱(笑)。

しかし見事なのはこのシークエンス。ライアン・ゴズリングのアクション場面とのカットバックで、エイミーとオリジナルのフィル•コリンズのボーカルも絡み合い、結果デュエットになっていくところ。映像と楽曲のミックスが最高で、音楽大好きなリーチ監督ならではの演出。またまた唸らされました。

そしておじさん世代胸アツポイントがもうひとつ。ゴズリングがずっと着ているのがあの人気ドラマシリーズ「特捜刑事マイアミ・バイス」(1984〜1989)のスタッフジャンパー。この映画にはこうした実存する作品や俳優たちの名前がバシバシ出てくるのですが、ボートチェイス・シークエンスになって、もしや…!? と思いきや、やっぱりでてきたヤン・ハマーのMiami Vice Theme〜マイアミ・バイスのテーマ」

これは燃えましたね。ちゃんと音楽もフィーチャーしてくれたかと。しかしどれだけ懐かしアイテムを放り込んでくるのでしょうか。多分10〜30代あたりは「?」なのでしょうが、まぁこうしたヨロコビは我々世代の特権ですね。

さて、ダメ押しなのがエンドクレジットです。オリジナル版のテレビシリーズ「俺たち賞金稼‼︎ フォールガイ」の主題歌、主役のリー・メジャースが歌っていた「Unkown Stantman」の登場ですね(リーは本作でもカメオ出演!)。

うおー懐かしすぎる…と悶絶したのはやっぱり我々おじさん世代くらいでしょう(しかもこれはごく一部かな)。だが嬉しい。誰になんと言われようと嬉しい。まぁ今回のはカバーなんですが、歌っているのがカントリーシンガーのブレイク•シェルトンなので雰囲気はバッチリ。しかもエンドクレジットとともに流れる映像が本編スタントシーンのメイキング!ホントにド派手なアクション、やってるんですね。CGクソくらえな意気込みが伝わってきます。こんなのジャッキー映画以外ではじめて観たかもという地味な感動すらありました。このリアリティー勝負なところ、もっと宣伝でアピールすればいいのにと思ったりしました。

Recommend >>>『The Fall Guy Original Soundtrack』(2024)

ドミニク・ルイスによる熱く激しいサウンドトラックと、ご紹介したヤングブラッドによる「I Was Made for Lovin’ You」と、ブレイク・シェルトンによる「Unkown Stantman」もバッチリ収録!さらに「マイアミ・バイスのテーマ」がアレンジされた「Miami Grilled Cheese」なんて曲も!気になって映画を観たあとはマストバイorマストアクセスです!! >>> CD, Apple Music, Spotify

志田一穂がジョニー志田名義でお送りしている湘南ビーチFM/SBCラジオ『seaside theatre』にて、今回紹介したサントラ数曲を番組でもOAいたします!こちらから聴いてね!(何をかけるかはお楽しみ) 湘南ビーチFM | Shonan BeachFM 78.9