レアとおぼしきサントラを勝手気ままに紹介していく『このサントラ、ちょっとレア。』5月16日に東京は立石CINEMA BASEにて開催の「スター・ウォーズ トークイベント」に出席登壇する志田一穂が、今回もご案内させていただきます。

さて、何をいまさらスター・ウォーズなのかよという感じですが、5月22日からいよいよ『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』の日米同時公開があったり、先日5月4日にはフランスのコミック『ルーカス・ウォーズ EP2』という、スター・ウォーズのメイキングをマンガで構成した人気シリーズの最新刊が日本にて発売となったりで、

とにかくいつまで経っても話題に事欠かない存在、それがスター・ウォーズ(以下SW)だったりしますので、であればこのコラムでも、SWのサントラレコードについていろいろと考察してみるか、と思った次第です。
最初のSW公開当時(EP4/1977年)ですが、既に先に公開されていたアメリカでの爆発的ヒットのニュースを受け、こりゃ日本でも大ヒット間違いなしと、宣伝の露出量はかなりのものだった記憶があります。志田は小学二年生くらいだったと思いますが、それぐらいのブームであればとりあえず乗っかっておかないとな、ということで、父親と一緒に映画館へ出向いたのですが、朝早くから並んで(昔はスマホで席確保とかないですからね)、なんとか超満員の劇場内にて座って観れたわけです。で、このSWという映画は、なんと物語の途中から話が始まるので、前半はなんだなんだ?という感じで観始めたのですが(第四話からのお話しですからまぁ混乱しますよね)、それでもいろんなキャラやドロイドや宇宙船などがこれでもかというくらい出てくるので、小二のガキとしてはそれだけで楽しくて、最後は宇宙での戦闘機バトルの迫力に圧倒され、基本的に勧善懲悪な世界観に、いやー面白かったと満足して劇場をあとにしたのです。
で、当時は劇場用パンフレットくらいしか手もとに関連商品がないので、コーラを買ってSW名場面が印刷されている瓶のフタでも収集するか?とか、いろいろ考えるのですが、いやいややっぱりあのテーマ曲をもう一回聴きたいじゃないのと、まずはサントラのシングル盤を買ったわけです。おぉこれだこれだとコーフンしながら何度も聴いていたのですが、でもこれ、ちょっと演奏がオリジナル版とは違う感じがすると。そんな違和感を抱いたまま月日は流れ、後年、オリジナル・アルバムを入手してそちらを聴いてみると、あーこれだこれだやっぱりこっちだ!と気づいたわけです。なんでシングルとアルバムとでこんなにバージョンが違うんだ?と、不思議でしょうがなかったのですが、当時はこのように映画で聴いたバージョンと微妙に違うレコードが結構あったのです。

そんな小二のガキが買ったシングルレコードはれっきとした正規盤でしたが、それでもちょっとバージョンが違うというややこしかったもの。しかしこれはまだいい方でして、他にも大ヒット作の影響によってカバー曲を出せば売れる、というレコード会社のアコギな便乗商法商品もわんさかあったのですね。SWはまさにその便乗レコードの宝庫でして、かつて中古レコード屋の100円コーナーなんかを漁ったりしていたときは、まぁ出てくる出てくるSWと名の付く「これなんだ?」的レコードのオンパレード。中にはしっかりと、

このように映画の場面写真をしっかり使ったものまで出てくるから、これなら…と勘違いして買って聴いてみると全然違うアレンジじゃねーか、そもそもメイナード・ファーガスンって誰だよ!と怒り狂う始末(名のあるトランぺッターの方ですが結構他にもカバー曲で儲けていらっしゃいます)。
70年代後半はフュージョン・ブームでもありましたから、ファーガスンともどもジャズ・ミュージシャンもこぞってSWのテーマをオレもオレもとカバーしておりました。あの『フレンチ・コネクション』シリーズで最高のサウンドトラックを聴かせてくれたドン・エリスもSWやっちゃってます。

こうしたタイトルロゴと雰囲気イラストのジャケはともかく要注意なのですが、「え?ドン・エリス?だったら…」とまた手を伸ばしてしまうのですね。
こうなるともう中古レコードで100円盤ならなんでも買ってやろかい!と、気持ちも大きくなってしまい(なんでだ)、SWレコなら片っ端から入手してやる…と、無駄に意気込みまして、デヴィッド・マシューズなんて謎のアーティストによるSWや、

ムード・ミュージックのラスボス、レーモン・ルフェーヴル率いるグランド・オーケストラによるSWなんかも唇を嚙みしめつつ入手(レーモンはB面がホテル・カリフォルニアという胃痛レベルのレコード)。

もちろんディスコ・ブームも忘れてはならないので、我らがMECOによるSWレコードだって必需品として手元に置いていたワタクシでございます。それにしてもこのジャケ、なんとかならないか。

しかしですね、ここまではまぁいいのですよ。さらなるめんどくさいシロモノとして、SWならなんでもいいのか的レコードたちというのも存在するのですね。謎が謎呼ぶシングル盤として紹介したいのがこちらのザ・ギャラクシーというユニットのA面『未知との遭遇』B面SWというカップリング・シングル盤です。

スピルバーグとルーカスの二大巨頭作品のカップリングとはなかなかイキなことをやるじゃねぇかと思いきや、これ実は問題は『未知との遭遇』の方にありまして、あの有名な宇宙人との交信音をフィーチャーした楽曲に、いきなり日本語歌詞を付けてボーカル曲に大変身させてしまっているんですね。ジャケにも大仰に「日本語盤」と宣言までしていて本当に憎たらしい。要するにこれ、“勝手に日本語詞カバー曲”です。曲中に不要な台詞まで挿入してきて、もう気絶モノだったりするわけですが、おいおいこれじゃ肝心のB面SWの方も思いやられるぞ!? と聴いてみたら、そっちは案外普通のカバー曲だったりしまして、やるなら両面しっかりズッコケさせてほしい!とよくわからない怒りまで沸騰してしまった次第です。
それとこちらもカバー曲のクオリティー自体はどうでもいい出来なのですが、いやいや、だけどSWのテーマをA面にしたシングル盤なのにこのジャケはないだろうと呆れ、失笑したレコードです。

こちら、かの有名(?)な、ポルノ版フラッシュ・ゴードンとしてカルトな人気を博した『フレッシュ・ゴードン』のメイン・ビジュアルなんです。よく見ると飛んでるロケットも変なアレしている形でして…、つまりはSWを利用してポルノ映画のテーマ曲をレコードにして売るという最悪アイテムだったわけです。ジャケに書かれているコピーも劣悪で、“フレッシュ・ゴードンなくしてスター・ウォーズは生まれなかった”とか言っちゃって、もう本当に真のSWファンたちに暗殺されるよ?と忠告したいレコードです。
あと、先ほどの『未知との遭遇』的に日本語歌詞を付けてSWを歌謡曲に仕立てあげてしまったのが、かの子門真人先生によるSWレコードですね。

これはもうSWレコードの中でも高値が付いている一番人気の希少盤だと思いますが、SWの2年ほど前に「およげ!たいやきくん」で社会現象を巻き起こしていた子門御大ですから、SWに乗っかることなんてお茶の子なんとかだったのでしょう。そうでなくともボーカも渋く歌も激ウマなので、これはこれで名曲レコードだなと感じてしまいます。ちなみにこちら、厳密に言うと前述したMECOのディスコバージョンがベースにあるので、そちらのバージョンのカバー曲とも言えますね。
お次はカバーでもなんでもない、オリジナルでSWの世界観のために日本で作っちゃったというとんでもないレコード「戦え!ルーク」です。

伊集院光氏のラジオで紹介され、一気にスポットライトを泣く泣く浴びてしまったという困ったレコードなんですね。これは言ってみればイメージソングと呼べるもので、メロディーもまったくSWのテーマではないですし、歌詞もなんだかロボットアニメの主題歌のようなので、もう速攻ですべてのSWファンに土下座していただきたいレコードであります。ただですね、こういうレコードがまたレア盤として人気が出てしまうから、本当にイヤな国ですね、日本て。
イメージソングと言えばこちら、SWのスピンオフ映画『エンドア 魔空の妖精』の便乗レコードも忘れてはいけません。

「うる星やつら」の主題歌も歌っていた南翔子さんによる「魔法のジェラシー」です。この曲によってイォーク族たちのテーマソングも、完全なるアイドル歌謡となりました。なんというか、こういうのって本当にトホホと笑ってしまうしかありません。このコラムでも、よくこういった「なぜなんだよ?」というレコードを紹介しておりますが、何もSWを持ち出してまで、いっちょかみへと果敢に挑まなくてもいいじゃんかよ、と心から思ってしまうのです。
さて、最後ぐらいは本家本元のレア盤をご紹介いたしましょう。EP6『ジェダイの復讐(帰還)』公開時にリリースされた「ラプティ・ネック前奏曲」です。

このレコードの楽曲は、本編に登場するマックス・レボ・バンドが作曲・演奏した曲(という設定)で、あのジャバ・ザ・ハットのお気に入りの曲(という設定)です。そんな劇中歌をそのままレコードにしたものではなく、この曲をフィーチャーしながらSWの各テーマ曲などがメドレーとなって構成されているというちょっとファンサービス・バージョンとなっているのです。演奏クレジットはアースとなっていますが、ボーカルをとっているのがジョセフ・ウィリアムズという方で、この方は、なんとあのジョン・ウィリアムズの娘さんだそうで。いやはやどうして作曲家の方々って身内を駆り出して、重要なテーマ曲とか挿入曲を歌わせたりするんでしょうかね。
かつての名作イタリア映画『刑事』の音楽を手がけたカルロ・ルスティケッリはテーマ曲「死ぬほど愛して」を愛娘アリダ・ケッリに歌わせてますし、リュック・ベッソン作品の常連音楽家エリック・セラも『ANNA/アナ』の主題歌をやはり娘のミティヴァイ・セラに歌わせていたり。重鎮ジョン・ウィリアムズ、あなたもか!と、公式盤とは言え、実はこちらも親バカレコードな一枚、というハナシでした。
というわけでSWレコード大会となってしまった今回ですが、5月16日、立石CINEMABASEにて開催のSWトークイベントは、まったく違う趣きで展開する予定でございます。

冒頭紹介したコミック『ルーカス・ウォーズ EP2』の監修担当であり、SW研究においても日本の第一人者、河原一久氏をお迎えしての徹底的SW談義です。これはもう志田自身が超楽しみなのです。SWの裏話、知られざるネタの数々がわんさか飛び出すはずなので、皆様も是非遊びにいらしてくださいませ。というわけで、こちらはまたカッキンで。
志田一穂がジョニー志田名義でお送りしている湘南ビーチFM『seaside theatre』こちらは毎週土曜20時からOA中。是非聴いてください!