
Zunさんが世界ツアーへ旅立ち、たくちゃんはメタバースの世界に一人取り残されたような気分だった。
「……仲間を見つけろって言われてもなぁ」
スピーカー頭を掻くように手を動かしながら、彼は仮想空間を歩いていた。Zunさんの音楽に心を奪われたが、自分が何をすればいいのか分からない。ギターも弾けないし、歌もうまいわけじゃない。
「俺にできることって何だろう……」
悩みながらも、たくちゃんはメタバースの世界を歩き回ることにした。すると、どこからかビートが鳴り響いてきた。

「Yo! Yo! そこのスピーカー頭! 何してんだよ!」
声のする方を振り向くと、紫色の髪をなびかせながらが立っていて、目が鋭くも楽しそうに輝いている。カジュアルなストリートファッションに、足元は派手なスニーカー。マイク片手にビートに乗りながら、軽快なステップを踏んでいる。
彼の名前はMC TOLAちゃん。メタバースで活動するマルチエンターテイナーだった。
「僕ですか? えっと、音楽をやろうと思ってるんだけど……」
「Yo! ならばまずはラップだな! フリースタイルで勝負しようぜ!」
「え!? いや、僕ラップとかやったことないよ……」
「心配すんな! リズムに乗ればなんとかなる! いくぜ!」

MC TOLAちゃん vs. たくちゃん フリースタイルバトル開始!
MC TOLAちゃん:
「Yo! Yo! でかいスピーカー!
だけど音は出ねぇのか? もしかして故障か?」
たくちゃん:
「お、お前こそやかましい!
俺は今、始めたばかり!
だけど心は熱いんだぜ!」
MC TOLAちゃん:
「お! いいじゃねぇか! その調子!
ならば次のステージ行こうぜ、同志!」
ラップバトルはなぜか盛り上がり、最後には二人で笑い合っていた。

「お前、いいノリしてんな! 気に入ったぜ!」
MC TOLAちゃんはたくちゃんの肩をバンバン叩いた。
「これから音楽をやるなら、仲間が必要だろ? 俺も一緒にやらせろよ!」
「いいの!? ありがとう!」
「ついでにラジオパーソナリティもやってんだ! お前の話、今夜の番組で特集しちまおうぜ!」
「え!? いきなり!?」
「あとダンスもいけるし、弾き語りもできる! 音楽なら何でも来いのエンターテイナー、それがMC TOLAちゃんだぜ!」
たくちゃんは、初めてメタバースの世界で「音楽で繋がれる仲間」を手に入れたのだった。
(第5話へ続く)
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・メタバース×音楽小説
※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。